本日は美術館でのレポートではなく、”美術体験”についてのお話をしようと思います。
みなさん、6月21日(金)に全国公開された映画【アンゼルム "傷ついた世界"の芸術家】という作品をご存じでしょうか?
こちら、昨年の日本アカデミー賞でも話題になった
映画『PERFECT DAYS』のヴィム・ヴェンダース監督(Wim Wenders)の作品なんです。
『PERFECT DAYS』が出品された第76回カンヌ国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督作品として2作同時にプレミア上映されたものでもあります。
※ちなみに『PERFECT DAYS』は第76回カンヌ国際映画祭 主演俳優賞(役所広司)、第96回アカデミー賞🄬国際長編映画賞にノミネートされています。
わたし、普段からよく映画も観るので、「perfect days」の監督作品なら興味あるなぁと思って
以前からこの作品に興味は持っていました。
で!本日【アンゼルム "傷ついた世界"の芸術家】を観てきた感想として…
アート好きなら見た方がいい!!!!
映画が苦手でも、これは面白いと思えるはず!
この作品、3Dメガネを装着してそのアート世界を立体的に味わえる作品なんです。
その没入感で90分の上映時間なんてあっという間です。
あと、あくまでもドキュメンタリー映画なのでストーリーが分からなくても結構。
ただただ、作品群の中に溶け込めるような体験でした。
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▼作品概要とアーティストについて
アンゼルムとは〈アンゼルム・キーファー〉さんのこと。
彼は1945年生まれの戦後ドイツを代表する芸術家で、
ナチスなど、ドイツの暗黒の時代に対して真っ向から向き合ってテーマとするかなり挑戦的な作家の印象。
ナチスドイツが過去してきたこと、戦争や神話などを
絵画・彫刻・建築・モニュメントなどで、皮肉というか強いメッセージを孕んで表現する作品を作る。
本作は、ヴィム・ヴェンダース監督がアンゼルム・キーファーに密着した2年の製作期間をドキュメンタリー映画として制作。
ただただ、アンゼルムキーファーが見てきた"傷ついた者たち"への鎮魂とも言える作品群をじっくり黙って見るべき。
個人的にはアンゼルム・キーファーさんのことを知らなかったのですが、
彼の作品たちからは、暗く悲しみを帯びながら
人々が目を背けて忘れようとしているナチス=ドイツの暗黒時代のことを忘れまい忘れまいと、
暗いあの時とあの時のせいでたくさんの人たちが傷つき、悲しみ、失い、絶望した、その時のことを
残そうと、刻もうと、人々に訴えようとする強い意志と姿勢を感じました。
メッセージ性の強いアンゼルム・キーファーの作品世界
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3D上映での没入感
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ヴィム・ヴェンダース監督による丁寧な演出
作中の言葉で印象的だったのは、”芸術と神話の違い”について語るシーン。
『芸術と神話の違いとは、神話は人間の問いに対して答えてくれる。ただし、神話の対敵は人間自身である。』
では芸術は?
相反して、問いを投げるのが芸術であろうか?
なんて思ったり。
上映館は全国的にそんなに多くはない上、公開日もまばら…(期間限定公開もあるようです)
早い会場で6月21日、遅い映画館では8月公開予定なんてところも!
関西では大阪ステーションシティシネマが6月21日~でしたが、
他は明日6月28日から。
お近くの映画館をチェックしてみてください!
個人的におすすめの映画なのでご興味あれば是非。
ではまた。