お越し下さり

ありがとうございます。

 

 

 

※お陰様で、見に来て下さる方が増え、中にはここで描かれているような親子関係の物語を読むと、辛くなってしまわれる方もおられると思います。全員の方に読んで頂くことを望んではおりませんが、もし読んで頂けるとして(偉そうなことを言うつもりはありませんが)これからのご自身やお子様との関係に、いい意味で響く何かが見つかれば、と願って書きました。

 

 

 

 

 

ガラスのエースくんに続いて

また、うしろ姿です。

 

しかもパパ目線からのね。。。

 

 

 

 

 

 

 

・・・同じ顔を二度描けない僕ですけど(描けませんorz________)

同じ人物を二度描く、しかも一度泣かせた子を笑わせるという、僕としては超E難度の野心作でした(野心は崩れました)。髪が違うのは、時の流れの現れです。

 

 

↑最初の絵、ちょっと荒いところがあったので、もう少し手を入れてみたのですけど。。。めちゃ感じが違う顔に…人物画ってむずかしい。

 

 

 

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...ここから先、

いつにも増して長いです。

 

 

 

お時間のある方、

体も心もお元気な方のみ

読んでやってください。...

 

いちおう、前編です。↓

機敏に動けない新人看護師【働くイケジョ】

 

 

 

あらすじは、おさらいしたので

前編を読む必要はないですけど…

 

 

 

 

 

 

・・・以下、例によって

フィクションです。

 

 

 

 

 

 

 

 

例によって、

残業続きのパパよりも

ずっと後に、この子は帰宅しました。

 

この子の帰宅時の空気に、

日々一喜一憂するパパ。…

 

あ、、、

今日も「大丈夫」やったんやね

 

と、安心しかけたのですが。・・・

 

 

 

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この子、まだ新人の看護師です。

緩和ケアチーム、という

いわゆる終末期医療の

現場にいる子です。

 

 

 

笑顔は、とても好かれる子です。

これだけが、とりえです。

 

性格は、おっとり、おっとり・・・

話し方も、立ち振る舞いも

ゆったり、ゆったり・・・

 

きっと、名の知れぬ博物館や

郊外の小さな神社など

時がゆっくり流れる職場が

ぴったりな子です。

 

パパは、そんなこの子に

あろうことか、看護師の道を

なかば押し付けてしまった。

 

そして本当に

看護師になってしまった。

 

 

 

この子にとって、重い重い日々が

始まったのでした。

 

 

 

 

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大病院の看護師の現場は、多くの場合

少人数で沢山の患者さんを担当し

絶えず決断と迅速な処置が

求められています。

 

分からない仕事も、タイミングを見て

先輩たちにうまく質問して、

(時には巻き込んで)

滞りなく回していかないといけない。

 

 

 

そんな合間にも、覚えるべきことは

素早くメモを取って

速く身につけなければいけない。

 

実技も進んで手を挙げて

覚えてゆかないといけない。

 

 

 

向き不向きは、はっきり分かれます。

 

 

 

ましてや、そこは女社会。

 

一人はいる、キツい先輩の

容赦ないマウントの下で、

力のない子は

じっと耐えなければいけません。

 

※緩和ケアチームは、

 その職務の内容上

 比較的温厚な人が多いのですが

 (もう助からない人へのケアが中心)

 全員温厚なわけはなく。。。

 

 

 

 

 

 

 

この子、悪循環にはまって

しまったようでした。

 

大きな間違いはしないのですが…

ただでさえ、のんびり屋なのに

緊張と不安でますます

うまく立ち振る舞えず

 

優先順位がわからなくなる、

忘れてしまう、

挙句、頭が真っ白になって

泣いてしまうことも。。。

 

 

 

 

 

 

この子、痛ましいことに

パパに時々泣いて弱音をはくのに

弱音を吐き切ってしまったら、

 

また前を向いて

歩き始めるんです。

 

台風の日も正月も

パニック発作で何日か休んだ後も

一歩一歩、歩いてゆくんです。

 

もうやめたい……と

泣き崩れた時、

パパは止めませんでした。

それでも、また一歩一歩……

 

 

 

あれから半年。

 

 

 

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遅番から帰ってきた、この子。

いつもと変わらぬ、

笑ってなくても少し笑ってるような

目元をこちらへ見せて、

 

「パパ、ちょっと、いいかな。。」

パパを、自分の部屋へ呼びました。

 

 

 

 

 

いつものままの表情でした。

でも、ペタッと床に正座して

下を見たきり・・・

 


 

私、 ね。。。。。

 

と、ここでこの子の声が

震え始めました。

 

「この頃、

今日、○○さん(この子)がいるから

みんなでしっかりカバーするんやで!!

…とか、言われてるねん」

 

(いや、そこは職場の皆さんの

思いやりなんでしょうけど

本人には刺すようにつらい場面)

 

 

 

「出勤するとき駅へ歩いてたら

勝手に涙がぽろぽろ出てくんねん」

(脳内の過剰なストレス物質を、

涙で体外へ排出する作用です)

 

 

 

私、 ね。。。。。

もう、やめても、いいよね……

 

 

 

涙が、ぽとぽと、ぽとぽと落ちました。

 

 

 

パパはそれ聞くの3回目ですけど、

どうも今度のは、さすがに潮時か…

 

………………

「オッケー。君はよく頑張ったよ。

向いてない仕事に差し向けて、

パパが悪かった。ごめんね。。。

(こんな子だからこそ、むしろ

居場所はあると思ったけど…)

 

ちょうど来月が年度末やから

今月のうちに退職することを伝えて

次の勤め先も探そうね」

 

この子、ひたすら泣きながら

何か話し続けましたが、

パパは相づち打って、ただただ

受け止めていました。

 

どんな道であれ

また前向いて歩きだすために

 

今は二人で屈んで休もうね

今この時間は全然

頑張らなくていいからね……

 

 

 

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それから先、……

じつはこの子の弱音を

とんと聞かなくなりました。

 

いや、それって今までもあったこと。。

しばらく平静そうでいて、急に崩れる。

 

パパは油断しませんよ。

小さな出来事の蓄積では、

人って動かない。

 

人を、良くない方へ

どん!と動かすのは大きな事件。

事件が、起こってないだけ…

大失敗するとか大マウントに遭うとか

そういうことがまだ

起こってないだけ。…

 

 

 

 

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ある日、

この子はパパを気遣いました。

 

 

 

「パパ、会社で差別されてない?」

 

医療従事者の身内だと、

コロナ持ちの家族、と

差別されることがあるらしいのです。

 

「うちは大丈夫!

そういう変な奴おらんから」

 

「そう、よかった。。。」

 

 

 

聞くと、この子が務める部署の

向かいの病棟に、

コロナ患者の受け入れを

始めたらしいのです。

(もう、対岸の火事ではない)

 

 

 

ところで最近、仕事どうなん?…

パパはこの子に聞きました。

 

「ん、…この頃、…

新人の子たちに目ー向いてんねん」

 

 

 

先輩たちの意識が、新人たち

つまりこの子の後輩に向いてる。

その分、自分が槍玉に上がることが

少なくなったというのです。

 

後輩の中には、何か教えてもらっても

メモも取らない人がいて、

その人の一部の面倒を見る立場に

この子が回っているとか。

 

 

 

ずっと、パパがこの子を

見守っている、と思ってたら

 

この子がパパに気を配り

後輩を見守り始めている

 

 

 

 

 

 

 

「パパ、何か欲しいものない?」

 

この子、そんなことを言い出しました。

誕生日でも父の日でもないのに…

 

「えっ?あるけど高いよ( ´∀` )」

 

「いや、そうゆうんじゃなくてー」

 

「…あ、あるけど、やっぱし高い」

 

「えー何?何?」

 

「ギターのピックアップ!!(ガチ)」

 

「それいくら?」

 

「9000円ぐらい・・・」

 

「・・・そんなんで、ええの??」

 

(いや、そんなん、って・・・)

 

 

 

金銭感覚が違うのは、認める。

(看護師なので収入は多く

使う気力がないのでよく貯まる)

(パパのお小遣いは削りに削られ…)

 

そんなん、ええから貯金しーよ!…

と言うのが親の責任なのでしょうが

 

…ありがとっ!!

遠慮なくおごられますっ!!

 

この子、にこにこ。

ありがとうね。

 

 

 

プレゼントよりも

この子の成長がうれしかった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その「この子の成長」を

パパは数か月後、

痛切に思い知ることに

なるのです。

 

 

 

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社会性が育つのが遅い子でした。

小学校も高学年になるのに

欲しいものを遠慮できない。

 

友達の頭をいきなり

ひっぱいたことも。。。

 

パパは何度も、友達の遊び場を探して

謝りに行ったり

謝らせに行ったりしました。

 

それでも優しい友達に恵まれたのか、

いつのまにか少しずつ

人の中で円滑に過ごす為に

必要なことを覚えてゆきました。

 

学生時代、どん臭さがゆえに

教官に虐められてたようですが

友達が教官のリーダーに言いつけて

治めてくれたことも。

 

みんなに守られて育った子が

今は患者さんたちを守っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

梅雨明け前の、

降ったりやんだりの日曜日。

 

 

 

「パパ、今日時間ある?…」

 

「(しんどいけど)

あるよあるよ

パパの休日は

全部時間あるよー♪♪」

 

「よかったー。。」

 

 

 

 

「……私、一人暮らしするんで、、、

一緒にお部屋探ししてくれる?」

 

病院、家から遠くてしんどいし、

そろそろいいかな、て思ーて。。

 

 

 

ひ、…ひとりぐ・・・・・・

 

 

 

もう、この子の軸足は

僕の家には乗っていない。

広い広い世の中の、

仕事場やら喧噪やらの中に

いつのまにか移っている。

 

娘の門出。

親がその裾をつかんではいけない

むしろ旅先案内人として

しっかりエスコートしていこう。

 

 

 

不動産屋さんとこの子と

3人でいくつか部屋を見ました。

 

この子の新居候補の部屋たちは

なんだかパパにはちょっと怖かった。

 

「月一ぐらいで、

ゴハン作りに来てあげるわ!」

パパはちゃっかり、

定期的に様子を見に来る

道筋づくりに成功しました。

 

 

 

家電は!家具は!と語るパパに、

豊富な情報を披露するこの子。

 

「私、パパと一緒に買いに行きたい」

 

「オッケー。値切りはパパに任せとき!

そしてパパから学ぶんやで。」

この子に、少しでもお金を

残してあげたい。

 

 

家電量販店へ向かう道中、

 

「君はお金持ってるから、

変な男につかまりなさんなよ!」

 

「私そんな女やないよ」

 

「いやいや変な男は口上手いんやで!」

 

「私は大丈夫よ。。。」

 

 

 

居並ぶ洗濯機や冷蔵庫を前に、

パパは二歩下がって、

この子の自主性に任せました。

 

なものですから、

製品を確かめるこの子の姿は、

パパから見るといちいち

うしろ姿なわけです。

 

パパに背中を向けて

この子は遠ざかってゆく。

 

 

 

ふと、この子が迷って

二歩下がった時、

 

パパはこの子の小さな肩に

シャツの袖だけで触れました。

 

しばらく、

そのままでいました。

 

 

 

 

 

 

 

夕方にここへ来て

ずいぶん時間が経つのに

入口の大きなガラスドアの向こうが

むしろ明るくなっていました。

 

夕日の光に、紫の雲。。。

 

雨が、上がったみたいです。

 

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでくださって

本当にありがとうございました。。