BNF :はい。そうですね。
北尾:でも、160万円を170億円にしてこれ以上儲ける必要があるかって話もあるよね(笑)?
BNF :まぁ確かに(笑)。それはありますね。
北尾:それでもまだ儲けたい?
BNF :ーん・・・。儲けたいっていうよりも、機会損失をしたくないからやってるという感じがありますね。日経平均 が300円くらい上がっているときに何の取引もしていなかったりして「あぁ、今日やってれば2億円くらい儲かったのかな」って考えちゃうと2億損したのと同じような気分になっちゃう。そういう風に思いたくないから続けてるってところはありますね。だから中毒なのかもしれません。
北尾:中毒ね(笑)。
BNF :基本的にそうなんですよ。金額的にはもうやめてもいいんですが、儲けそこなったりしたら嫌だなっていうのがあるから、どうしても毎日画面を見ちゃうんですよね。
北尾:でも見てしまうと集中するから結構疲れるでしょ?
BNF :そうですねぇ。もう30近くなってきたんで(笑)。今後はもっと長いスパンで、長期とかもやっていかないと資金的にも増えていかないかなと思いますね。短期だと精神的にもきついし、利益率もどんどん悪くなってくるんで、今後は長期投資も取り入れていかないと難しいのかな、とは思ってます。
北尾:ウォーレン・バフェットも基本的に長期だからね。彼の投資した銘柄の中でジレットやコカ・コーラが有名だけど、彼は継続的に消費するようなものに投資したんだね。
BNF :長期だと、そうするべきですね。
北尾:ジレットなんかは、本当にうまいと思うよ。普通のヒゲソリ使っていて、しばらくしたら「その替え刃はもう作ってません」なんてこと言うんだから。しょうがないから新しいものを買ってしまう。それから今度は二枚刃、三枚刃ってどんどん商品をグレードアップして出す。でも、どっちがいいかって昔のほうが良かったんじゃないかって気がするけどね(笑)。
BNF :確かに上手いやり方ですね(笑)。
北尾:ところであなたの名前は、投資家のヴィクター・ニーダーホッファーから取ったそうだね?彼のどういうところを気に入ったの?
BNF :ヴィクター・ニーダーホッファーはヘッジファンド を運用していて、高いパフォーマンスを続けていたんですが、破産するくらいまで大損しちゃったんです(笑)。オプション だったんですけど、他の人が皆売ってた時にその人だけはプット・オプションを空売ってたんです。上がる方に賭けてたんですね。他の人が売っている時にその人だけ強気なポジション取って、結果的に追証になって強制決算させられて、それで大損しちゃったんです。でも、読み通りにその後すごく上がっていったんです。あの時、市場が30分早く閉まってしまい、それがなければ大成功だったかもしれません。普通、あれだけ成功してたらオプションであれだけ強気の、破産スレスレのポジションを取るなんてできないじゃないですか?それができるだけで、儲けるポテンシャルが高いってことなんだと思うんですよ。普通の人ができないことをやってるので。
北尾:市場が30分早く閉まる。彼の場合は「運」が無かったんだろうね。僕はこの相場の勝ち負けっていうのは確実に「運」があると思いますね。

BNF :いろんな「運」がありますね。始める時期とか。
北尾:本当にその「運」に恵まれている人と恵まれてない人と、その差が正直に出てくるね。相場は。
BNF :自分の場合だと時期的なものがすごく大きかったですね。ちょうど自分が学生のときにネット証券とか手数料自由化が始まったんで。だから10年早く生まれていたら駄目だったろうし、10年遅く生まれても全然こういう風に儲かっていなかったと思います。
北尾:始めたのは大学 3年のときからだっけ?
BNF :そうなんですよ。ちょうど暇で(笑)。
北尾:そのころから株式には興味持ってたの?
BNF :そんなに興味無かったんですよ。やっぱりネット証券とか手数料自由化が始まったのが大きいですね。それまではほとんど興味なかったですね。
北尾:まぁこれからだよね。その170億円を1700億円、2000億円にするのか、もしくはまた1000倍にしちゃうかとかね(笑)。
BNF :それはもう長期でやるしかないでしょうね。個人レベルだと情報の面で限界があるので、なかなか難しいですね。
北尾:情報面での限界ね。でも最終的には自分の持っている情報と自分自身を信じ込むしかないんだよね。バフェットも信じ込んだ。60年代にマンハッタン ファンドを作ったジェリー ・サイは、当時まだ新興企業だったゼロックスやIBMに次々と投資した。それがどれもものすごく上がって大成功になった。彼はこうした当時の新興企業の将来を信じた。
BNF :普通はそこまでリスクは取れないですからね。
北尾:ジェリー・サイの場合はその後また生保を買うんだよね。相場で儲けて事業を買う。その事業を育て上げてまた儲ける。
BNF :バークシャーなんて完全にそうですよね。普通の繊維 会社だったのを買って。日本で言えば、ソフトバンク もそういう風に成長してきましたね。
北尾:結局ソフトバンクが今日まで事業を伸ばせたのは、ヤフーに投資した100億円のお陰ですよ。これが何倍にもなったわけだから。
BNF :ヤフーは大成功でしたね。ソフトバンクにとって本当に大きかったと思います。でももうアメリカのヤフーは結構売ってしまいましたね。
北尾:アメリカのヤフーは売ったね。売った当時は持っていた方がよかったんじゃないかという議論もあったけど、最近はそういう議論が消えたね。
BNF :まあアメリカのヤフーは上がっていないですからね。先日の決算発表でも6四半期連続減収減益って感じですので。
北尾:もう完全にグーグル が抜いたからね。ヤフーの人海戦術に対してグーグルの考え方は最初からロボット だった。人海戦術にはすぐ限界が来るけど、ロボットはどんどん進化するんですね。
BNF :しかし、グーグルは本当にすごいなあと思いますよ。NHKスペシャル を見たときに特集をやっていたんですけど。まあ、アメリカを見ていると本当にスケールが違いますね。最近米国株は自社株買い、ダウに入っている30銘柄の中で自社株買いを発表することが結構多いです。それも何兆円とかレベルで。
北尾:IBMなんか凄いことやっていたね。自社株買いをするために転換社債を出す。そして行使価格を今の株価よりもだいぶ上にした。そしてそれで資金調達をして、それに見合った同じだけの株を市場から買う。だけど行使価格が上だから必ず上に行く、という訳です。面白い方法を考える人がいるんだよね。僕もずっと研究していますが、僕の研究テーマの一つは資金調達と株価、M&Aと株価なんです。
BNF :アメリカは本当にすごいですね、金融に関しては圧倒的だと思います。製造業 が駄目でも、貿易赤字がすごくても結局金融で取り返すんで。日本の場合は株式市場が低迷しているからみんな難しいんですよね。資金の流れが今悪いんで。ライブドアショックが結構効いていますよ、日本は。
北尾:今考えると、僕が登場したこともライブドアショックを起こすようなことにつながったかもしれないね。
BNF :まあ、色々あって結果的にライブドアショックが起こって・・・、新興市場は一気に低迷してしまいましたね。
北尾:そう、ある意味で自分の首を自分で締めたようなことが若干あるんですよね(笑)。ライブドアはファンドを使って決算操作をしていたので、ファンドについての監査が厳しくなった。そうすると他の新興企業も次々と問題起こしていく。
BNF :新興は下方修正する企業がすごく増えたんですよね、あの後。それで新興市場の信頼性が失われたことが、低迷した一番の理由なんですよね。信用がなくなっちゃって、それで株をやめる人がどんどん増えていって・・・。日本株が世界的に出遅れている原因として、個人投資家が元気ないっていうのが一番大きいと思うんです。他の国はあれだけ株が上がっていれば、多分個人投資家もすごい盛り上がっていると思うんですけど。日本はあまり盛り上がっていない。
北尾:日本の場合は機関投資家も原因だね。90年代初頭に始まって2000年に入ってからも続いたあのバブル崩壊の後遺症がずっとあって、毎日毎日株価下がっていくあの経験を忘れられない機関投資家のポートフォリオマネージャーがものすごく慎重になっている。ジョン・ケネス・ガルブレイスが『バブルの物語』で言っているように、これはもう世代交代しないといけないかもしれないね。
BNF :自分はちょうど落ちたところくらいではじめているんですよね。80年代の日本はバブルを作っちゃったと思いますが、今の中国がそんな感じになってますね。
北尾:あの時の日本は企業業績が伸びていないのに、株価土地の価格だけ上がり続けた。中国はそうではなくて業績もどんどん伸びているから、まだまだ伸びる銘柄が沢山ある。
BNF :日本も89年に日経平均は天井をつきましたけど、でもその後、本田とかトヨタ とか京セラとか業績のいいとこは上がっていきました。今の新興市場でも中にはDeNAのように、業績が良くて上がっているところもあるんで。
北尾:もちろん業績は大事な要素だけれど、結局マーケット全体が下がるときに業績はほとんど影響なかったね。機関投資家は売れるものから売っていく。外国人もあの時はもう日本のマーケットからどんどん売れる株から売ってゲットアウトしていたでしょ。だから出来高の高いもの、そして業績が比較的よいものもどんどん売り出していった。結局全部下がっていったね。やっぱりそれが相場の一つの流れだと思うんですね。
BNF :それでも長い目で見ればトヨタとか本田とか……
北尾:そう、それこそがまさに「買い場」なんですよ!!
BNF :そうですよね。そういう銘柄こそが長期的に見れば「買い」なんだと思いますね。
北尾:それだけ毎日株のことだけを考えていたら、休む暇もないね(笑)。例えば、どういう時に幸せを感じますか?
BNF :幸せを感じるときですか・・・。あんまり、そんなにないですね。全部売り抜けたときですかね(笑)。短期でやってるんで、常に心の余裕がない感じですね。ですから売り抜けた後も、また買う銘柄が出てくる可能性がありますし・・・。株始める前とかは、結構ボーっとしてましたけど(笑)。
北尾:いや、株の世界ってそうですね。僕も機関投資家相手にセールスやっていた時は、もう本当に毎日毎日休める暇なんてなかった。しかし、寧静致遠という言葉があるように、落ち着いたゆっくりした気分にならないと遠大な境地に達することが出来ない。これは諸葛孔明が五丈原の戦場で陣没する時に自分の息子に遺言として残した言葉だけど、そういう時間も持とうとしないといけないね。
BNF :まあそうですが、なかなか余裕ないですね。
北尾:そういう点では短期は特に厳しいですよ。しかし、僕のお客様で儲かっていた人は、ほとんど短期でやらなかった。最近読んだ「日本経済のリスク・プレミアム 」(著:山口 勝業)という本は非常に優れた本でしたが、そこでも50年にわたる実証分析結果、長期投資のほうが良いという結論になっていましたよ。
BNF :でも、それは資金にもよると思うんですよね。例えば100万円を長期で運用して、3倍になっても300万円とか。これじゃあんまり意味がないと言うか・・・
北尾:それは短期でやった方がいいよ。ある程度の資金がなければ、長期投資を考えるのは厳しいと思うね。
BNF :だからある程度資金増えてからは本当に長期の方がいいかなとは思いますね。
北尾:そうそう、そうしないと難しいよ。今のあなたのレベルだともう完全に長期の方がいいだろうね、実際問題。
BNF :長期でもいいんですけど、なかなかそういうのはあんまり分からないんで。その辺がまだまだと言うか、だから駄目なんですね。
北尾:駄目ではなくて、それは考える暇がないから。だからちょっと落ち着いた雰囲気になって、遠大な境地に達してごらん。それこそウォーレン・バフェットみたいなことになるかもしれないよ(笑)。
BNF :ちょっと心のゆとりがないんですね、自分の場合。常に何かに追われている感じがするんで。
北尾:やっぱり幸せを感じる瞬間を出来るだけ作った方がいいね。決してパフォーマンスがよかったから、儲けたからって幸せを感じるものではないと思うよ。だから、例えば家族のこととか、子供の成長だとか。そういう幸せを感じる瞬間をどんどん増やしていった方がいいと思うね。
BNF :そうなってしまったら、あんまり株に集中できなくなってしまう、というのもありますけどね(笑)。
北尾:まあ、それはそれでいいんだと思うよ。そうやって成長していくんですよ。投資家としても。それでいいんじゃないかな。
BNF :だから先々のこととか色々と考えると、もうちょっと長期投資とかの勉強していきたいんですよ。
北尾:短期投資だけでなく、長期投資でも大いに成果上げてくださいよ。その時にはイー・トレードも使ってくれるとありがたいですね。他のサイトに慣れてしまうと、慣れで使い続けてしまうこともあると思うけど、長期投資だったら使い勝手はそんなに問題にならない(笑)。
BNF :まあ日本株の長期投資はなかなか考えていないですけど(笑)。
北尾:もちろん外国株も含めてね。そんなに遠い先の話じゃないんだけど、僕の夢は自分のPCの前で世界中の銘柄が自由に買えるようになること。そして日本の投資家がグローバル ・アセット・アロケーション(国際分散投資)をやる上で、ためになることを次々とやっていこうと思っている。
BNF :それは素晴らしいですね。
北尾:でも今まで僕がやってきた中で、一番投資家のためになったことというと、やはりイー・トレード証券を作って手数料を極力下げたことだろうね。それまで大手の証券会社などの高い手数料は、全部自分たちの懐に入ってたわけでしょ。それを全て投資家に返した。
BNF :そうですね。そのおかげで短期売買が出来るようになった。
北尾:そして、そのおかげでイー・トレード証券儲かる ようになった。だから、これはめぐりめぐっているんだけどね。
BNF :そう考えるとネット証券ってよく出来ていますね。
北尾:そう。そして今までなら大手の証券会社が株を買う相手として見做していなかった20代、30代の若い人 たちのおかげでイー・トレード証券は収益が出てきているわけです。もう一つ大事なことは20代や30代の人は30年経ったら50代や60代になっていく。そうなると富裕層になっていくということです。
BNF :そうですね。逆に野村證券の顧客の年齢層は上がっていきますからね。
北尾:だから経営は時間の関数なんです。僕は会社を作るときにいつも20年経った時に、この方がいいっていうことが立証されるような、そういう会社を作ってきた。
BNF :ネット証券インターネットの会社なんかもそんな感じですね。だから今20代30代の人だったら年をとっても皆インターネットやるんで。
北尾:やるんですよ。もう50代や60代の人も皆PCだとか携帯 だとか、そういったものを活用するようになります。今までの常識なんてなくなってきて、もっと新しい世界がくるかもしれない。それまでにもっともっと資産を伸ばして下さい。
BNF :ええ、まあ(笑)。
北尾:いや今日はどうもありがとうございました。
BNF :はい、ありがとうございました。