『追憶のZ(プロローグ)』

もうすぐ夜が明ける…

俺の隣には いつもアイツがいた
でも奴は もういない…

アイツとの出会いは最悪だった

16歳の高校一年生だった俺は
じきに夏休みを迎えようとするある日
アイツに喧嘩を吹っかけられた…

アイツは学校一のツッパリだった

上級生にも物怖じしない
〝気に食わない″ と見れば叩き潰す
そんな奴だった

俺達はサシで
やがて日が暮れようとする
川沿いの原っぱで
互いに拳が擦り切れるまで殴り合った

ふたりで草むらを寝そべり
夜空に輝く星を眺めていた

〝昨日の敵は今日の友″なのかな?

次の日から俺達は
互いに肩を組むようになった

よくふたりで
ROCKの話で盛り上がっていたよな

アイツはステッペンウルフの
〝BORN  TO  BE  WILD″が好きだと
いつも口癖のように言っていた

やがて俺達はバイクの免許を取り…

アイツは火の玉カラーのZ750RSに
そして俺は
マークIIカラーのZ750FXに
強い憧れを持つようになっていた 

〝いつかこの街を ふたりで出ようぜ″ 

そう語り合った夏のあの日は
もう 遠き思い出…

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