『コックピットの中の悪夢』
コックピットの中で
あの日の悪夢が蘇る
1994年のサンマリノ…
5月1日に貴方は逝ってしまった
そして長き時を超えて今僕は
この呪われたサーキットに舞い降りた
サーキットクイーンの愛しき彼女は
笑顔で僕を送り出してくれた
でも僕は気づいていたよ
笑顔で手を振る君の頬に
細く残った涙の跡に…
何故なのかな?
ハンドルを握る手がやけに震える
レーシングシューズの靴紐が
音を立てて切れそうだ
初めて感じる恐怖の時が
汗と化して背を伝う
あの日流れた血の跡が
今でも残るサンマリノ…
風の音すら聞こえない
魔物が棲みつくサンマリノ…
生きてここから帰れたら
彼女の肩を抱きしめよう
生きてここから帰るから
凍えた身体を温めて…