オートコンプリートにも対応
米Microsoftは11月16日(現地時間)、「Excel」の新しい関数
「LET」を一般公開したと発表した。
今年3月から“Office Insider”でテストされていた機能です。
「LET」関数は計算結果に名前を割り当て、
それを再利用できるようにするもの。
同じような処理を何度も記述して数式が
長く読みにくくなるのを避けられるほか、
計算量の多い処理を何度も繰り返す必要がなくなるため
パフォーマンスが向上する。
プログラミング言語の“変数”によく似た概念ですが、
それが利用できる範囲
(スコープ)のはその数式の中だけです。
「LET」関数の基本的な構文は、以下の通りです。
= LET (name1, name_value1, name2, name_value2, ……calculation) |
・name:変数の名前。文字で始まる必要があり、
数式の出力や範囲構文と競合してはならない
・name_value:“name”に割り当てる値
・calculation:変数を利用した計算。
最後の引数はこれでなければならない
変数は最大126個が利用でき、その数だけ
名前と値のペアを引数に指定する。
最後の引数は変数を利用した
計算式(calculation)である必要があるため、
引数の数はかならず奇数個になる(最短の引数は3)。
たとえば以下の売り上げデータから社員名が
“Fred”のものだけを抽出したい場合は以下のようになります。
LET を利用しない場合: =IF(ISBLANK(FILTER(A2:D8,A2:A8="Fred")),"-", FILTER(A2:D8,A2:A8="Fred")) LETを利用した場合: =LET(filterCriteria,"Fred”,filteredRange,FILTER (A2:D8,A2:A8=filterCriteria), IF(ISBLANK(filteredRange),"-",filteredRange)) |
“Fred”や“FILTER(A2:D8,A2:A8=……)”を繰り返し記述する
代わりにわかりやすい変数名を付けられるので、
あとでフィルタリングの条件を変更する
必要が生じても容易に式を再利用できる。
計算速度も「LET」関数を
利用した方が2倍速いという。
正式版の「LET」関数では、“name1”“name2”などで宣言した
変数を“calculation”引数でオートコンプリートできるようになった。
データ参照の競合を防ぐため
変数の名前に“.”(ドット)を利用できなくしたり、
関数名のローカライゼーションが廃止されたのも、
“Office Insider”のフィードバックを取り入れた成果です。
どの言語の「Excel」でも
「LET」という名前で関数を利用できます。
「LET」関数は「Office 365」または「Microsoft 365」の「Excel」
「Excel 2021」で利用可能。Webを含めたすべての
プラットフォームの“Current”チャネルで利用できます。