民進党と日本維新の会ですっきりするか | 山本洋一ブログ とことん正論

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元日経新聞記者が政治、経済問題の裏側を解説!

 民主党と維新の党が合流し、27日に「民進党」を結成しました。維新の党から分裂した改革結集の会や一部の無所属議員も合流し、衆参両院で156人の規模となりました。一方、おおさか維新の会は維新の党消滅に伴い「日本維新の会」というかつての名称に戻ることに。これで政界はすっきりするのでしょうか。


 振り返れば
2012年に大阪維新の会を中心として、民主党やみんなの党の離党組が参加して日本維新の会を結成。その際に石原慎太郎氏率いる太陽の党(旧たちあがれ日本)も一緒になりましたが、内部対立が続き、2014年の夏に大阪系と東京系に割れました。

 
 東京系が立ち上げたのが次世代の党。大阪系はみんなの党から分裂してできた結いの党と一緒になり、維新の党を設立しました。

次世代の党はその後、日本のこころを大切にする党に衣替えしましたが、大部分は自民党に入党。維新の党も昨年分裂し、大阪系は大阪維新の会を発足。残ったメンバーが今回、民進党に参加したという流れです。よほどの政治通でない限り、わけがわからないことでしょう。

「維新」というのは引退した橋下徹前大阪市長と、彼の側近である大阪の自民党系地方議員が名乗ったのが最初。ところが最近の維新の党には民主党やみんなの党出身者ばかりしかおらず、一種のねじれが生じていました。

民主党やみんなの党の出身者が民進党に集結し、残った元祖維新が日本維新の会と名前を変えるとなれば、一見すっきりするように見えます。しかし、そうとも言えない現実があります。

民進党は党の綱領に「格差是正」や「立憲主義」を掲げており、どちらかというと左寄りの政策をアピールするようです。安倍政権が右寄りにみられていることから、反対に進んで世論を取り込む狙いだとみられます。

しかし、民主党の政権担当時に露呈したような、政策の不一致は一切、解消されていません。今の岡田執行部は左寄りの政策を掲げていますが、前原誠司元代表や長島昭久元防衛副大臣のように、バリバリの改憲主義者も民進党には参加しました。

さらに、民主党以外から民進党に参加した議員の中にも、左寄りとは思えないような議員がいます。今まで民主党を支える官公労を批判していた人たちも交じっているのです。これでは野党再編がばっちりうまくいった、とは到底思えません。民進党の支持が伸び悩み、選挙で敗北すれば再び離合集散を繰り返す可能性があります。

なんで思想も違う人たちが一緒になるのか。首をかしげる人たちも多いでしょう。答えは選挙区事情。自分が次の選挙で勝つにはどうすればいいか。そればかり考えて自分の所属政党を決めるので、思想や政策が一致しないのです。背景には選挙区で1人しか当選しない、小選挙区制の存在も影響しています。

直近の世論調査をみると、民進党に「期待する」という答えが「期待しない」を大きく下回っているようです。政策の不一致が解消しない限り、国民の期待を膨らませるのは難しそうです。