秋吉台を降りて、この先は何処へ向かうか考える。
このまま萩まで走っても良いのだが、どうせ観光などしないだろうから、ずっと日本海沿いを辿る事になる予感がする。
ふと、我に返って適当にハンドルを切った。
もうすでに何処にいるのかよくわからないが、下関を目指す事にして、気の向くまま車を走らせた。
正直、何処をどう走ったのかはわからないが、山を抜けて大きな池を横目に見ながら車を走らせた。
いざとなればナビを頼れば良いなんて、ちょっと時代を感じてしまう。
若い時にバイクで旅した頃は、地図を片手に迷いながら走ったものだ。
ちょうど疲れを感じたタイミングで、ナビの画面に道の駅を発見したので寄る事にした。
田んぼのど真ん中にある道の駅で一休みして、運転しっぱなしの疲れを和らげた。
ちょっと落ち着く道の駅で、名前から察すると夏の前には蛍を見れるのだろう。
前に赴任した田舎でも蛍を見る事が出来たが、一面に広がる田畑に蛍が舞う姿は壮観ではないだろうか。
チャンスがあれば6月頃に再度訪ねてみたいが、今のところ難しいか。
軽く仮眠をとってから道の駅を出て、国道2号線を目指した。
国道に出ると、少し進むと道が良くなって高速道路のような道になる。
免許の更新も近いので、安全運転で先を急ぐ。
夕暮れが近づく薄暗闇の中、山間に海が覗く景色は晴れた昼間だと映える筈だ。
もう日も暮れてしまうので、下関で1泊しようかと考えたが、家に帰るにはまだ間に合う。
結局、車を返して新下関から自宅への帰路に着いた。
帰宅して食器棚に鍾乳石の亀を並べると、同じような亀が2個揃った。
5年前、置き去りにされてしまった亀もこれで寂しくは無いだろう。
十年以上の時を隔てるが、2つの亀は同じように輝いている。
この並んだ2個の亀の間にはいろんな時と思い出が流れた。
亀の置物以外、昔の旅の思い出は何もない。
写真も俺の手元にはなく、うろ覚えの記憶しかない。
人に伝えるような旅でもないが、自分の旅の思い出にと長々とブログを綴ってしまった。
いつか気が向いたら読み返してみたい。