節分なので、スーパーで恵方巻を買って帰った。

 

俺の故郷では恵方巻を食べる習慣はなく、社会人になるまでは知らなかった。

 

子供の頃は豆まきのみで、大豆に混ざったお菓子のような豆を食べるのが楽しみだった。

 

初めて関西に赴任した時に恵方巻を知って、関西の習慣に驚いたのも懐かしい。

 

その頃は故郷は愚か、首都圏でも恵方巻を見かける事が少なかったが、今では全国で節分の主力商品のようだ。

 

まだ、家族がいた頃には、お気に入りの店があって、そこの恵方巻を買う事が節分の任務だった。

 

今では目についたものを選んで買うだけだが、節分がきて2月になった事は実感させられる。

 

独りに戻ったばかりの頃、1本だけ買った恵方巻を齧って孤独というものをしみじみと味わったのが思い出される。

 

もう当たり前になってしまった事なので、俺にとってはただの季節限定の食事にすぎない。

 

それでも今年の方角、北北西を向いて一気にかぶりつく。

 

無言はいつもの事なので、条件もクリアしているだろう。

 

少しは招福につながっていると良いのだが…