せっかくの連休なのだが、生憎と何の予定もない。
暑さもあってか、外に出るのが億劫なのだが、閉じこもっていても息が詰まる。
ご無沙汰気味だったので、近所の喫茶店で小説でも読むかと思いたって出掛けた。
本を片手にお店のドアをくぐると、相変わらず空いている。
もしかしたら、今日の客は俺だけなんじゃないかと心配になるくらいだ。
奥まった席に陣取り、珈琲とサンドイッチを頼んだ。
最近はメニューもろくに見ない。
少し本を読むすすんだ頃、店の扉が開いて派手目の女の子2人組が入ってきた。
目線を活字から外したのをきっかけに、運ばれてきたまま飾り物になっていたサンドイッチをパクついた。
おっさんの俺から見ると、女の子達はダンサーみたいな恰好で、この店ではあまり見かけないタイプの子達だった。
少し来ない間に客層が変わったのだろうか?
サンドウッチを食べながら、つまらない事を考えていると、女の子達の注文が耳に届く。
この暑さだから当然なのだが、2人の注文はかき氷だった。
そんな選択肢があったのか!と驚くこと暫し、改めてメニューを見なかった事を悔やんだ。
季節がら当然の話なのだが、店の雰囲気からして、そんなものを出しているようには思えなかった。
メニューを確認すると、夏季限定でかき氷4種がしっかりと書いてある。
既にサンドイッチを食べているが、これは頼まざるを得ない。
直ぐに宇治金時を注文した。
かき氷を食べるのは何年ぶりだろうか?
たぶん、家族連れで花火と祭にいった時が最後だろう。
そして、俺にとって最後の花火はとても苦い思い出だ。
運ばれてきた宇治金時の抹茶の苦みと重なって、束の間だが当時の事が蘇る。
気を取り直して、久しぶりのかき氷を楽しむと、これまた久しぶりに頭の奥がキーンと痛んだ。
たかが氷なのだが、サンドイッチと合わせてお腹も膨らんだのだろう。
本の続きを読むうちに寝てしまっていた。
目が覚める頃には店内も俺一人に戻っていた。
冷めた珈琲を啜って店を後にすると、まだまだ太陽も高く暑さは強烈だった。
連休中、気が向いたら、またかき氷を食べに来ようと誓って帰宅した。
つまらない出来事だが、俺にとって、悪くない休日を過ごした気分にさせてもらった。