小林正観さんは、生前、60冊に及ぶ著書や年間300回を超える講演などを通じて、楽に楽しく幸せに生きるための、ものの見方を伝えていました。

「楽に楽しく」とは、「効率的に実利的に」ということでもあります。

「がんばらなくていい」からさらに踏み込んで、「がんばらないほうがいい」と正観さんが言うのも、潜在能力を使えたほうが楽で効率的だから。そして、顕在意識(15%領域)で「努力・がんばり・必死」を重ねるよりも、潜在意識(85%領域)をひらいて「努力しない・がんばらない・必死にならない」ほうが、大きな力がはたらいて物事がうまくいくので、とても実利的なのです。

「そうならなくてもいいけど」と執着やこだわりを手放すとアルファ波状態へ、心を込めない「ありがとう」でシータ波状態へ、さらには、心を込めた「ありがとうでアルタ波状態へ、85%領域はひらかれていくと正観さんは言います。そして、たくさん「ありがとう」を言うと、自分の力だけでがんばるよりもはるかに物事がうまくいくので、結局自分自身が得をするという利があるのです。

ありがとうは、利が合うと(りがあうと)たくさん言える。たくさん言えると、たくさん癒える。たくさん癒えると、日々がそれだけ楽になります。

精神論、道徳論としてではなく、実利性と損得勘定を入口にして「ありがとう」を勧める。人間に対する深い理解があった、正観さんならではの提案です。

「幸せの本質とは、何事もなく淡々と過ぎていく日常である」というのが、正観さんの幸せ論の核心ですが、損得勘定でありがとうをたくさん言っているうちに、心からの感謝も湧き出るようになり、毎日を心穏やかに楽に過ごすことができるようになります。すると不思議なことに、何事もますますうまくいき、奇跡のようなことも起きるので、人生はさらに楽しく幸せなものになっていきます。

損得勘定で楽しみながら、ありがとうの力を味わってみてはいかがでしょう。