夜更かしの夜。
なんだか変な日本語だが、間違っていない。
真昼間の昼。
これは明らかにおかしい。
すけべなチカン。
間違ってはいないが、ついスルーしそうだ。
ま、とにかく今夜は寝られないのだ。
原稿書いて、企画書書いて。。
明日の朝までにやらんといかんのに、手付かずなのだ。
なのに、アメブロなんて書いておるのだ。
テストの前の夜にマンガ読んじゃうのと一緒だ。
こういう時は神頼みするに限る。
「原稿と企画書、朝までに素晴らしいものが書けますように!」
そうつぶやいて、俺は手を2回叩く。
俺の神様に。
まさに「オーマイゴッド!」だ。
これが俺の神様。
京都の骨董店で買った。
新しい升を買って中におさまってもらった。
東北の古い農家の囲炉裏の上に祭ってあったので、
分厚く煤が付着して輪郭も消えかかっている。
もう300年くらいは経ってるのじゃないだろうか。
この神様とは出会いがあった。
その骨董店では「大黒様」として売られていたのだ。
ふーん、大黒様か。
でもよく見ると右手は掲げてあって、左手には何かを抱えているように見える。
「これ恵比寿様じゃないですか?」
「エ? そうですか?」
「ほら、右手に釣り竿、左手に鯛を抱えてそうですよ」
「確かにそうですね、恵比寿様ですね。ずっと大黒様と思ってました」
するとこの恵比寿様がニッコリと笑ったのだ。
本当に俺には笑ったように見えた。
これはご縁があるから、我が家に来ていただこう。
そう思って恵比寿様を買い求めた。
木の切れ端にあまりキレのよくない小刀で切り出した、
とても無骨で素朴なお姿がいい。
なんていうか木の精霊が化現したように見えるのだ。
諸君は「木喰仏(もくじきぶつ)」って知ってるか?
東北を中心に各地に残る木彫りの仏様で、
とても素朴で簡素な庶民の信仰の対象として彫られた仏像だ。
我が家の恵比寿様はその木喰仏を思わせるのだ。
恵比寿様がいらっしゃって以来、
朝起きた時と夜寝る前に手を合わせる。
きっと数百年の間繰り返された名もなき祈りの言葉の繰り返しを、
平成時代の俺も受け継ごうと思ったのだ。
でもね、それ以来なんだか運気が上がった気がするんだ。
気のせい? いやいや、木の精ね(笑)。
小島慶子さんの初めての小説のタイトルが『わたしの神様』というんだが、
この担当編集は実は俺なのだ。
月刊誌DRESSの編集長時代の話だ。
で、なんと今夜書いている原稿が小島慶子さんの原稿という巡り合わせ。
小説第2作『ホライズン』も素晴らしい。
よかったら両方とも読んでね。
さあ、まずは小島慶子の原稿からやっつけるか。
やっつけるとはやっつけ仕事をするという意味ではない。
やっつけない仕事をやっつける。
この日本語も変だな??