骨っぽい男を最近は見かけなくなりました。
骨っぽいと言っても痩せている意味ではありません。
男らしい男という意味です。
私の友人の沢田はその数少ない骨っぽい男の一人でした。
大学生のときに中野で麻雀をやっていて知り合いました。
沢田は専修大学の学生で、ゲームセンターでアルバイトをしていました。
中野に理容学校があって、何しろ値段が安かったのでよく通いました。
その代わり髪型はばらばらになってしまいました。
髪形を気にする性分でもなかったので、安いぶん得だと思っていました。
ここの生徒の女の子が沢田の彼女でした。
この彼女はアルバイトで中野のスナックで働いていました。
ところがこの彼女、地元の極道に気に入られてしまいました。
水商売が悪いとは思いませんが、こういう危険もはらんでいます。
ふつう、極道に目をつけられたら逃げるのがいちばんいいと思います。
1年ぐらい姿を隠してほとぼりがさめるを待つしかありません。
ところが沢田は彼女を極道から取り返そうとしました。
それは絶対に無理な話です。
結局500万円で返してやるなどと無理なことを言ってきました。
私もスナックのママに声だけはかけたのですがどうにもならないとの話でした。
沢田は極道の事務所に乗り込んで直談判いたしました。
聞くだに怖ろしい話です。
沢田は半殺しにあってしまいました。
極道とはそういう連中です。
それでもまた沢田は事務所に乗り込みました。
また半殺しの目にあいました。
殺される前によせばいいのに、合計4回、暴力団の事務所に談判に行きました。
結局、暴力団が根負けして、100万円で手を引くことになりました。
理不尽な話ではありますが、沢田は100万を用意しました。
彼女も自由になりました。
私は沢田が指でも詰めて決着するのかと思いましたら、それはどうもテレビの見すぎのようでした。
堅気の人間に指を詰めさせることはないようです。
満身創痍の沢田でしたが、彼女がもどってよかったと思いました。
でも、この彼女、理容学校を途中でやめて、寿司職人になってしまいました。
沢田と一緒になったのかどうかは分かりません。
ただそこまでするほどのいい女だったかなあと言っては失礼でしょうか。