次、目を覚ましたら朝になっていた。
母が起きて布団を畳んでいた。
なんでコタツなんかで寝てるのよと
怒られたので信じないかもしれないけど
とあの一連の話をした。

話を聞いた母は『またまたぁ笑』と
冗談のように茶化してきた。

なら、これを見てみてと夢の中で
掴まれた左腕を見せた。
僕にはくっきり真紫色の手形が
僕の腕を掴むような跡が見えるのに母には
言われてみればそんなふうに見えるかなぁ
という感じに見えていた。

寝ぼけてたんだよと笑って流す母にじゃあ
コレ見てと夢の中で噛まれた足首を見せた。
誰が見ても歯型だとわかるくらい
ガッツリ跡が残っていた。

母はどんどん顔が青ざめていき
本当なんだと悟ったみたいだ。
その日の夜、父が仕事から帰ってきて
僕を見るなり、
『今日から暫くはリビングで寝ろ』と言った。

僕の家系は父方の方が霊感が強く
父は若い頃人間と幽霊の区別が付かないくらい
霊感が強く、軽いモノなら払える人だった。

母が父に僕が朝話した出来事を伝えたらしく
腕の手形と足首の歯型を見せろと言われた。
さすがの父もそれを見ると固まっていた。

呪文のようなお経のような分からないけど
何かを唱えながらテレビで見るような
祓う動作をして、気休めにしかならないけど
と言って暫く僕は父の言う通り
リビングで寝る生活をした。

その日を境に父は毎晩魘されるようになった。
約1ヶ月が経とうとしていたある日
あまりにも魘され方が異常だったので
父は信頼している視える仲間Aに相談した。

Aも父と僕を見た瞬間、
『どこでそんなもん拾ってきたんや!』
とめちゃめちゃ怒られた。
父も仕事であちこち移動するし
僕も色んなところで遊ぶのでどこでだか
検討が付かないことを話した。

父とAは2人で何か話していたけど
僕にはよく聞こえなかった。
Aは視えるだけで祓う力はないけど
どういう霊なのか、悪影響を及ぼすか、
とかの判断はできる人だった。

父はAと会った日以来
職場で寝泊まりすることが増えた。
母は毎晩魘されていた父が心配だったけど
父に何か言われていたのか
『きっと大丈夫だから』と言っていた。

暫くすると父が帰ってきて
『もう大丈夫だ』と言った。
その、もう大丈夫だ。の意味を当時は
何も聞かされてなかったので
理解できなかった。

そこから1週間も経ってなかったと思う。
父の仕事仲間が不慮の事故で亡くなった。

父は葬式場で複雑そうに申し訳なさそうな顔で
最後の別れをして別れを惜しんでいた。

それと同時に僕の腕の手形も
足首の歯型も綺麗に消えた。

僕が大人になって、ふとその話を
思い出して父に覚えてるか聞いてみた。
するとあぁ……と複雑そうな顔をしたので
更にずっと気になっていたことを聞いた。
「あの時のもう大丈夫だって何だったの?」
すると父は暫く黙って何かを考え込んで
重い口を開いてくれた。

父曰く、父の視える仲間Aに早めに
僕と父に憑いている霊をどうにかしないと
実害を及ぼすくらいタチの悪いモノだと。
標的が最初は僕だったけど
父が悪夢を1人で背負ったので
その時の完全なる標的は父だから
このままだと遅かれ早かれ死ぬぞと。
そう言われたらしい。

だから父は仕事仲間、Bに父と同じくらい
霊感が強いけど視えることに気づいていない
自分に霊感があるなんて思ってない
天然な人がいるのでその人と仕事中
極力一緒に行動するようにしたらしい。

父と同じくらい霊感が強いのに
霊感があるなんて知らないから
幽霊が取り憑いても飽きて違うところに
行くんじゃないかと思ったみたいだ。

案の定、父から仕事仲間Bの方に
乗り移ってBの首元に顔がピッタリ
張り付いて離れなかったのを父は視た。

そこから少ししてBは首が悲惨な形に
なるくらいの事故で亡くなったというのは
言うまでもないだろう。

だから父は葬式場で複雑な顔をしていたんだ
と納得した。父は続けてこう話した。

『俺がお前に今まで話さなかったのは
俺がBに擦りつけたようなもんだから
申し訳ないし後味わるいしで嫌だったんだ』

「確かに。もしその霊の仕業じゃなくても
タイミングが悪すぎてそう考えるよね。」

『それと、話した事でまた俺のところに
その霊が戻ってきてもアレだったから
あんまり話したくなかったんだよ。でも
もうだいぶ時間も経ったし
大丈夫だろうと思ってね。』

父は最後にこう言った。

『お焼香する時、Bの口から黒い煙が出てきて
ふよふよと会場を漂って、参列者の中の1人の
首元にまたあの時の顔がピッタリ
くっついてたからもう大丈夫だろう。』

その参列者はBの関係者で
どこの誰だか父は分からなかったと言う。

僕はその参列者の方がどうか今も元気で
ご存命されてることを祈るばかりだ。


END









最後まで下手くそなお話を読んでくださり
ありがとうございました。

多少変えている部分もありますが
ほぼ98%実話です。
僕の腕の手形と足首の歯型は
Bさんが亡くなって、葬式場から帰ってきて
ふと気になって見てみたら消えていて
それまではハッキリと残っていました。

当時は写真を撮るという文化が
今より根強くなかった上に
僕も小学低学年だったので証拠出せや!
と言われたらそれまでですが
本当だったら怖いな〜くらいで
お楽しみ頂けたら幸いです。

そしてこの話には後日談がありまして
ちょっとした小話をさせてください。

父のそんな会話をしてからまた
時が経ち、僕にも視える仲間ができて
こんな経験したことあるんだよと
その仲間に話してみたら
『待って、なんか旅館みたいな廃墟が視える』
と仲間に言われてびっくりしました。

その仲間はとても霊感が強く
祓うこともできるし結界も貼れる上に
念写とはまた違うのですが
頭の中に念が流れ込んできて映像として
視える、と言った能力を持ってる人で
『小学校低学年の頃に○○辺りの
旅館の廃墟とかで遊んでなかった?』
と言われた時は鳥肌が止まりませんでした。

何歳の頃に体験したとか一切言わず
住んでいた地域名も教えてなかったのに
全てドンピシャで言い当てられました。

あぁ……本当に
視える人には視えるんだな……と思いました。


他にも
・ 日本人形の光る目
・ 2階の開かずの間
・ 裏庭の崩れた石
・ お姉ちゃんの雛人形
・ 某有名な心スポでの出来事
などなどありますがいつか僕のやる気が
起きたら書くのでその時も見てくれたら
嬉しいです。

最後までありがとうございました。