だいぶ前になるのですが、こちらの本をようやく読みました。
武内昌美さんって、漫画家じゃない?名前違い?と思ってぐぐったら、やっぱり漫画家さんでした
私、子どものころは漫画ばかり読んでいて、武内昌美さんもその頃好きでよく読んでいたんです。
その漫画家さんと今度は中学受験をテーマにした小説で出会う…縁ですね。
今は小説家に転向されたようです。
元漫画家さんと知って読むと、こうした作風も腑に落ちます。
デフォルメが過ぎると思う方も多いと思いますが、ラスト、菜摘が心身ともにボロボロになって何度もSOSを出していても、菜摘が受験で輝かしい結果を残すことで自己実現をしたつもりになっていた母は中学受験をやめるという選択が出来ず、あのようなラストとなるくだり…
元漫画家さんだからか心情描写が甘いのはあっても、非常に身につまされるものはありました。
中学受験に足を踏み入れたものの、合わないからと撤退する方もおられると思いますが、私は次男がどんな状況になったら撤退するだろうかと考えても、正直撤退は考えられないんですよね。
もちろん、本人にあった学校を選んであげたいとは思いますが、撤退はないんです。
でもそれを本人が拒否したら?
どのような状況ならば子の意見を尊重できるのか、正直自信はありません。
特にこのケースだと、子どもがとても優秀ですから、優秀だとなおさら親は欲が出るものです。
あなたの意思を尊重すると口では言っても、結局は親の希望にそう形にもって行こうとする…おそらく殆どの親がそうではないかなと思いますし、それが必ずしも悪いことではないのですが、
問題は、「本当に」子どもが辛いと思ったとき、そのSOSを親はそのまま受け止めることができるのか、ということです。
まだまだ頑張れる、
と、どうしても親は思ってしまうし、そう思うのは簡単ですが、本人にしか分からない限界もある。
結局親というものは自分のパラダイムに基づいて思考していて、本当の意味で子どもの意見を掬い取るということは難しいのではないか。
また、子どもが自己実現のツールになっていたり、親自身のコンプレックスを果たす目的化されてしまえば、子どもの受験を諦めるということは大袈裟でもなく、親自身の存在が脅かされることにもなってしまう。
こうしたラストに至ることは現実には稀なのですが、子どもだったり親子関係における、何を言っても無駄だよね、というような、精神的なる死、というものは受験においてはわりと身近にもたらされる可能性があるなと感じてしまいました。