ベルサイユ宮殿に行ったのは、
26歳の時でした。
ヨーロッパ旅行の最後がパリだったので、
時間潰し(つぶし)に見に行くことにしました。🇫🇷
私としては、
ロサンジェルスのディズニーランドみたいな、
楽しい場所を想像していたのですが、
たいへんな思い違いでした。
「ベルサイユのバラ」のイメージが強くて、
ロマンチックな場所という先入観をを持っていました。
「ベルサイユのばら」で思い出しましたが、
大学生の時に、
家庭教師をしていた、
鶯谷の小学6年生の青山理恵ちゃんが、
このマンガの大ファンでした。👧
聖心女学園を志望しており(合格いたしました)、
毎回長時間の勉強をさせていましたので、
「理恵ちゃんが好きな『ベルサイユのばら』の話をしてくれる」
と言い、
たまには理恵ちゃんの好きなことをさせようと思いました。
しかし、
しゃべること、しゃべること、
ずっと『ベルサイユのバラ』の話を滔々と(とうとうと)喋っていました。
その日は全く勉強はせずに、
理恵ちゃんの話を聞いて終わってしまいました。
ところで、
ベルサイユ宮殿は、
かろうじて正門が華やかな金色の傑作品でしたが、
中に入るとその広いこと、広いこと。
建物の中に入って、
マリーアントワネットの寝室を見学しましたが、
豪華というには程遠いものでした。🛌
ベッドがすごく小さかったのが意外でした。
マリーアントワネットは相当小柄だったようです。
いろいろ見てまわって、
それなりに面白かったのですが、
何が困ったかというと、
敷地内を歩く距離がやたらと長いことと、
トイレがなかったことと、
食べ物の売店がなかったことです。
そう言えば、
昔のフランスの貴族は、
建物の横で用を足すので、
宮殿も困って、
用を足す場所に札を立てました。🚾
この札のことをエチケットといい、
現在のエチケットの語源になっています。
ハンカチが真四角なのも、
アントワネットがその形じゃなくては嫌だ、
と言ったためでした。
それ以前は、
丸や三角のハンカチがあったそうです。○△
ともかく、
ベルサイユ宮殿の庭にうっかり奥深くまで入ってしまうと、
えらいことになります。
トイレの方は、
それこそ昔の貴族のように、
その辺の草むらで済ませばよかったのですが、
飲食物が手に入らないのには、
とても辛い思いをしました。
朝6時に朝食を食べて、
ベルサイユ宮殿に着いたのが8時、
中に入ってから昼飯を食おうなんて思っていたら、
何もなかったので、
宮殿を出る夕方の4時まで飲まず食わず、
駅まで戻って食べたサンドイッチは、
どんな高級なステーキよりも美味しいと思いました。
それだけ長い時間ベルサイユ宮殿の中にいて、
何を見たのだろうと思い返してみても、
アントワネットの寝室しか思い出せませんでした。
ただ、ただ、
ひたすら広い庭をさ迷い歩いていたのでした。
パリのホテルに帰ると、
中華街のコックも帰っていました。
「よう、どうだった、ベルサイユ」
「最悪で死にそうだったよ」
「だからよせばよかったのに」
「お前何してたの」
「ぶらぶら歩いて、コーヒー飲んだりしてた。観光地は好きじゃないんだ」
「オレもその辺散歩すればよかったな。夜になったら、ショー見に行かないか」
「懲りないヤツだな。あんなもん面白くないって」
彼はそう言いましたが、
あいつにパリのことが分かるわけじゃあるまいし、
夜はひとりで、
「クレージーホース」のショーを見に出かけました。
「クレージーホース」は満席で、
席が有りませんでしたので、
2mの空調の機械によじ登って、
その上に座ってショウを見ていました。
ボーイが下を通りましたので、
上からビールを注文しました。
ただ、
ハッキリ言って面白くも何ともないショウでした。
新宿のストリップ劇場(国際劇場)と大差ない出し物で、
また時間を無駄にしてしまいました。
ホテルに帰ってから、
本当のことを言うのも悔しいので
「めちゃめちゃ面白かったぜ」
と大嘘をこきましたら、
「ハハハ、嘘だって顔に書いてあるよ。仏頂面してて面白かったわけないだろう」
私はもう日本に帰るだけだったので、
「トーマスクック」という電車の時刻表を彼にあげました。📘
彼は叫ばんばかりに喜んでいました。
なんと、
この「トーマスクック」というヨーロッパの時刻表は、
日本では買えても、
ヨーロッパでは買えなかったんです。
何ででしょうかね
ドイツのケルン大聖堂のステンドグラスです。
これだけ立派なものを作るんですから、
宗教の力ってすごいよね