ペットコーナーで、
女が飼っていた猫を
愛おしそうに眺めていた旦那。
その姿を目にしたときには、
言葉を失い、
どんな嫌味も出てこず、
ただ、ひたすら、
その姿を見ている事しか出来ませんでした。
でも、その後も
態度を変えたくなかった為、
(子供達もいたので)
平然を装っていました。
旦那も、それはそれは普通でした。
モヤモヤしたまま、
夜になり、
夫婦の時間になった途端に、
私は我慢の限界がきて、
言わずには居られなくなりました。
『今日、マジマジと猫を見てたよね。
あの猫、女性が飼ってた猫と同じ種類の猫だよね。そーゆーの、私が知ってるのを知ってて、よく、私の目の前で堂々とその猫を見つめる事が出来たね?』
『え?』
その後、何十秒か沈黙。
そして、一言。
『そうだっけ?』
嘘でしょう?
何言ってるの?この人?
頭、イカれてるの?
それともただのバカなの?
それともただのクズ?
あ、
普通のクズか。
忘れるわけがないだろーが。
あれほどに猫の事をたくさん
チャットで話していたのに。
女のラインのアイコンも
その猫の写真だったし、
インスタでも、
ロシアンブルーの子が出てるアカウント
フォローしているくせに。
『ふざけるな。バカにするなよ。』
そう言うと、
私はボロボロと泣き出してしまった。
ただ、ただ、悔しかった。
もぉ、とにかく悔しかった。
不倫した事、
不倫された事、
それが現実な事、
忘れられない事、
信頼が無くなった事、
疑ってばかりな事、
もう、何もかもが、
嫌で、嫌で、仕方なくなった。
そして、
しばらく、悔し泣きをしていたら、
また一言。
『ごめんね、
そんな思いさせて。』
彼は、それしか言えない。
それしか、言えないのだ。