ロジャー・ムーア主演の”007: The Spy Who Loved Me”

評価は6/10点満点です。


まず良い点をあげると、

クルト・ユルゲンスが演じたSpectreの首領と似て非なる悪役がとてもよかった。

*金儲けに執着するSpectreの首領と真逆の、大義に生きる狂信者としての存在感がユルゲンスの演技とともに際立っていました。

ユルゲンス配下の、鮫にさえ勝ってしまう不死身のジョーズというボンドが歯がたたない中ボスの造形が見事でした。

キャロライン・モンロー演じるヘリコプター操縦に長けた、ユルゲンス配下の才色兼備の悪役が魅力的だった。


悪い点は、

バーバラ・バック演ずるロシアのボンドと並び立つ才能を持つはずの女スパイの活躍が前半限定で、後半は完全にいつものボンドの助けを待つボンドガールに成り下がってしまうのはとても残念だった。

*ここは大減点です。(彼女のアクションシーンはほぼ皆無だったし

全体としてのストーリーや設定が監督であるルイス・ギルバートの大傑作かつ大怪作である第6作の『007は二度死ぬ』と酷似していたこと。大戦艦内の空間デザインやクライマックスの集団アクションシーンはほぼまんまだったし

ショーン・コネリーの「007」シリーズやジョージ・レイゼンビー主演の第6作から引用されたシーンがとても多く、そのすべてのシーンで二番煎じのそしりを免れ得ない。

*唯一面白いと思ったのは、『ロシアより愛をこめて』の列車の中でのコネリーとロバート・ショーの格闘にインスピレーションを得たジョーズとボンドの格闘シーンくらいかな。

④ ①のロシアの女スパイの話しはライバルである”The Man From U.N.C.L.E.”『コードネーム U.N.C.L.E./0011 ナポレオン・ソロ』のまんまになるのはいいとして、その設定をほぼ使わずじまいで、がっくりした。