勝間和代さんの「会社に人生を預けるな」を読んでいて、忠臣蔵ものなどで描写される武士社会と終身雇用制度に代表される日本の大企業社会はよく似ているなあと感じた。

特に感じるのは、男が築き上げる社会の閉鎖性である。閉鎖社会だから男同士の嫉妬も激しい。

私も若い頃、英語なんて何の役にもたたない会社にいたとき、英語の本を読んでいたら「兄ちゃん、カッコつけるなよ」とひとつ年上の人に言われたことがある。(その後、まわりの目を気にして、こそこそと英語の本を読むようになり、少し自分が嫌になった) 英語をつかう会社にいても、洋書を読んでいたらオーナー社長から「俺が英語の本を読まないからって見せつけるなよ」と言われとてもびっくりしたのを覚えている。(みんなが英語をつかう会社で言われるとは思わなかった)

またこれは外資系の会社に移ってからだが、女性社員となごやかに会話をしようものなら「○○さんって、結構女たらしなんだね」と女性の扱いの下手な年上の同僚に言われたことがある。

私が経験した男の嫉妬は些細なもので、出世街道をばく進する豊臣秀吉のような社員は、圧倒的な差を同僚たちにつけるまではもっと酷く醜い、そして巧妙な男の嫉妬をかなり経験するはずである。

どの社会にも嫉妬は付き物だが、閉鎖社会のそれは激しい。

忠臣蔵ものの敵役で、いまだに日本の時代劇で善人になったことがほとんどない吉良上野介は、武士社会という極端な閉鎖社会が生んだ憎悪の対象だが、この底には、高家筆頭として将軍・綱吉に気に入られ、息子が養子入りした上杉家を後ろ楯に栄耀栄華を享受しても、同僚の旗本や万石の大名たちに圧倒的な差をつけることができなかった人物への羨望と侮りが共存している。

関ヶ原で敗れた石田三成も敵役にされることが多いが、これも同僚たちに圧倒的な差をつけることができなかったのがその原因だ。