優秀句
「熱」
天 散歩する夫婦の熱を風が知る（大島忠成）
地 どうしよう義兄の右手熱すぎる（江尻容子）
人 熱帯夜負けずに燃える彼岸花（杜青春）
「ボロボロ」
天 ボロボロの少し手前で散りました（橋本泉）
地 指輪外してボロ雑巾を絞る（牧野ねえね）
人 ファッションというボロボロの夏帽子（木口公遊）
「縛る」
天 誰からも縛られないという孤独（三宅あつし）
地 実印の紙一枚に縛られる（橋本泉）
人 家事介護嫁という名で縛られる（井上富子）
「祈る」
天 祈りは天へ奇跡を起こす母の愛（牧野ねえね）
地 千羽鶴核なき世界祈りつつ（脇本千代子）
人 ただ祈る予知能力のない私（竹本妙）
「食」
天 いい顔をしているめしどきのあなた（北川拓治）
地 痩せませんだってせっかく食べたのに（足立十古）
人 サンマ買うこんなに細くなりたいな（竹本妙）
「痛」
天 この痛み分け合う妻がいてくれる（北川拓治）
地 あっさりと別れて痛む夜の小指（江尻容子）
人 新しい花痛点をついてくる（橋本泉）