彼氏が行方不明になった④


彼氏が行方不明になった③のつづき↓

彼氏の捜索願が出た翌日の早朝、ご家族から連絡が来た。
彼が行ったと思われる山の近くの駐車場で車が見つかったと教えてくれた。

やっぱり山にいるんだ、、、

車が見つかったことで彼に少し近づいた気もするし、山に行って戻ってきてないと思うと不安が大きくなった気もした。

朝、山岳救助隊から連絡が来た。
やはりどの登山口から入ったかがわからないと捜索は難しいらしく、知人たちに連絡を取り情報をかき集めた。

その後ご家族に誘っていただき、彼がいるであろう山の付近に行くことにした。
車があることをこの目で確認し、少し安心した。
まだ彼の気配があるから。
さっきまでここにいたんだなっていうのがわかる。

「どうせふらっと出てくるよ」
とご家族も言っていた。私もなんだかんだ彼はへらへらしながら戻ってくる気がしていた。

なぜなら初めて一緒にキャンプへ行った時、彼は薪割り中に鉈で手首を切り、救急車で病院へ行ったことがある。
えええええ!!!というほどに血が出ており、顔も青ざめていたが幸い傷口が残る程度で済んだ。

そんなピンチは付き合い始めに経験したし、山にはよく行くし慣れている方なので、心のどこかでは今日見つかるだろうと思っていた。

現地にいても私たちは山に入ることもできず、ただそこで時間が過ぎていくだけだった。

夕方になったが彼は見つからない。
あれ、思ったより見つからないな。でも深夜までやってくれるらしいからまだ可能性はある。
そうやってどうにか自分を落ち着かせるしかない。

結局その日のうちには彼は見つからなかった。