玄関には送り迎えがよく似合う儀礼的なものではない、素朴に送りたい、迎えたいという気持ちの表現の場であるのだ。くわえて、履物を脱ぐ行為は、まさしく、外界の繊れを落として、内なる世界に入ることを意味しているように思う。われわれは無意識で行なう履物の着脱という行為に、精神的な気持ちの切り替えを重ねているといえるのだ。そういう意味で、玄関こそ、欧米の住まいにはないわが国独自の精神性の存在を示す場であり、外から内へ、あるいは内から外へ、という精神の切り替えの場としていまだにその恩恵を受けているように思う。