私が逮捕されて今日で10年が経った。
10年も前かとう気持ちと10年しか経っていないのかといった気持ちが交差する。
逮捕された日のことは鮮明に覚えてる。
逮捕されると分かって自ら警察署に出頭した。
家族には何も言わずに。
卑怯なことをしたと今も後悔している。
あの時の自分は、家族に今から逮捕されるなど伝える勇気がなかった。
警察署への道中、残される家族の事を想えば心から自分がしたことを悔やんだ。
子供達が幼かった頃の記憶が蘇り、涙があふれた。
自ら出張したと言えば聞こえはいいが、逮捕されることを分かっていて生活することが怖かっただけ。
逮捕されて楽になりたいと言ったエゴだった。
翌日、逮捕されたことを知る家族の気持ちなど考えていなかった。
本当に卑怯で小心者で大バカ者。
逮捕され10年のうち、3年半を刑事施設で過ごした。
その3年半は想像以上に長く苦しく辛いものだったが、娑婆に戻ってからの6年半は苦しくもがき続けたが、あっという間に過ぎていった。
逮捕された時のことは一生忘れずにいたい。
私のような大バカ者は、都合の悪いこと、嫌な記憶は消し去る能力に長けている。
私にとって忘れてはいけないことがこの10年に詰まっている。
自戒の意味を込めてあの日のことは忘れずにいたい。
今もし受刑者又は受刑者を待つ身の方がいれば伝えたい。
苦しいこと、悲しいこと、辛いことは全て時間が解決してくれる。
時間は時に人を苦しめるが、時に優しく流れていく。
その時間をどう過ごすかが大切。
私は、この10年を無駄にしたくない。
少しづつ前を向き生きていきたい。
いつかいいこともあるだろうって思いながら。
皆さんにも素敵な未来が待っていることを願ってやまない。
10年ひと昔なんて言うけれど、私のとってこの10年は、ひと昔では片づけられない大切な時間だった。