5月に横浜で開く第4回アフリカ開発会議(TICAD4)で日本政府は、アナン元国連事務総長が会長をやっている「アフリカ緑の革命同盟」(AGRA、the Alliance for a Green Revolution in Africa)への支援を表明するようだ。


AGRAはメリンダ & ゲイツ財団、ロックフェラー財団と一緒になってアフリカの零細農家の生産性を上げて自立した生活にして飢餓と貧困から脱出する事業をやっている。(ロックフェラー財団が参加してるのは、中南米とアジアでの農業革命で成功した体験がありそのノウハウを移転するため)


政府はここから提携の申し出を受け、日本で開発した乾燥に強い農作物の品種を提供したり、農産物を市場に出すために農道を整備する事業にカネを出す。


1月に福田首相がダボス会議へ出席してアフリカ支援を表明したが、このときアナンやゲイツと話して進めてるのだろう。


従来のODAから一歩出たODAを社会起業よりにする試みで、日本政府にとっては挑戦的な試みである。


従来のODAには官僚主義だったり、利権に集まる政治家や企業の姿が連想されたが、今度はそうは行かない。何しろ相手が事業の効果を追求する点で強力な連中で、古く陳腐化したやり方では跳ね返されてしまう。


下記にゲイツ財団とAGRAついて記述したが、起業家型の途上国開発をやるので、こうした点で日本政府の参加は面白いことになりそうである。NGO活動をやっており、不満の起業家型の人はこういうプロジェクトに参加すると喜びを感ずるのではないと思うのでおすすめ。


日本がはじめる初めての注目すべき社会起業家型政府援助じゃないかと思う。


メリンダ & ゲイツ財団の農業プロジェクト:
メリンダ & ゲイツ財団は、途上国での感染症の撲滅(病気でなければ学んだり働けるので貧困から脱出できる)、零細農家への支援(農業だけで食べてられるようになる)、マイクロファイナンスにより自営業を起こし生活の基盤をつくるなどの活動をやっている。


感染症の撲滅はゲイツの頭にあることだが、それだけでは貧困から脱出できない、もっと生活ができる基盤をつくるところまで事業を広げなくてはというのはメリンダ夫人のイニシアティブでやっており、農業支援事業はメリンダ・プロジェクトである。

ホームページにはこうある。


「一日1ドル以下で生活してる最貧困の人は10億人もいる。ほとんどは零細農家で食べえるのに十分な作物をつくれないでおり、余剰を産むどころではない。


どの国でも農業生産性を上げることなくして飢餓と貧困からすばやく向上することを成し遂げたことはない。(ゲイツ財団の農業プロジェクトは)パートナーとともに、完璧な農業のバリューチェーン、それは種と作物を改良し、マーケットへのアクセスをつくることだが、そのために投資することを第一義にする。零細農家、ほとんど女性が牽引している家庭へ支援の焦点を合わせる。


こうしたステップによって、数億人が貧困と飢餓から脱出することを助けることができると確信する」


メリンダ & ゲイツ財団の投資(資金付与)の基準は
1、農家の生産性上昇
2、マーケットへのリンク
3、アフリカの気候に合った新しい技術
4,データ、研究、政策分析
の4つである。


4番目があるのは意外であるが、これが入ってるのは投資効果を極大にするためと、評価をやるためだろう。これまでの出しっぱなしの援助と違いビジネスのやり方を踏襲しておりゲイツ流の厳しい姿勢が感じられる。


この基準でメリンダ & ゲイツ財団はロックフェラー財団と一緒になってすでに1億5000万ドルをAGRAへ拠出し、アフリカ大陸の小規模農家の生活改善事業を開始した。


さらにメリンダ & ゲイツ財団は1億ドルをPASS( Program for Africa’s Seed Systems )へ拠出したが、PASSはAGRAの最初の事業で、16カ国の1200地域に適合した作物を開発、種を生産して供給、9000の小売農業ディーラーのネットワークをつくり、零細農家へもっとアクセスできるようにして農業投入物(種、灌漑設備。。。)を増やして生産性を上げる。



AGRA:ホームページはここ


活動の狙いはこうである。



AGRAはアフリカの数百万の零細農家を貧困と飢餓から助けるために、ダイナミックにアフリカを先導するパートナーシップ事業である。プログラムは貧困農家の生産性と所得を顕著によくする実践力ある解決策を開発する。種、土壌改良、水管理からマーケットへのアクセス、農業教育まで、キーとなることを農業文化のバリューチェーンでつなげて働けるように(パートナーに)支援策を呼びかける。ゲイツ財団とロックフェラー財団の支援で、ナイロビ、ケニア、アクラ、ガーナにオフィスを置く。


アナンが今年の1月ケープタウンのワールド・エコノミック・フォーラムでAGRAについて長い演説をしているが、エッセンスはこんな内容である。


・3年前に国連事務総長として、アジス・アベバであったアフリカ農業革命についてのセミナーに出席して、数千万人のアフリカのわれらの子どもたち、両親、兄弟、姉妹たちが貧困と飢餓から抜け、機会と希望の世界へと引き上げることを話した。


・わたしはロックフェラー財団、ビル&メリンダ&ゲイツ財団、私たちのアフリカ・キャンペーンを支持してくれる他の人と、このチャレンジを受けることにした。


・われわれのゴールはドラマティカリーに生産性を上昇させ、小規模農家、ほとんどは女性がやっているが、の食料を確保し、収入を上げ、生活をよくすることである。


・2006年にパートナーとともに農家のための新しい種子を開発、農業教育プログラムもスタートした。


・2007年には土壌を改善するプログラムを放ち、アフリカの農地は世界で最も痩せているが、2008年には農家がそれぞれの農地で穀物を栽培できるような水管理をはじめ、2009年にはマーケット情報システム、穀物貯蔵、輸送システムへ挑戦する。


・5年をこえて、AGRAの仕事はアフリカの農家、女性団体、全ての農業分野のパートナーとリーダーに知らせ続けたい。


・5年で100種の新しい穀物を生産する。


・水管理は私たちのプランの試金石である。前途には水使用の改善、特に水が少ない所のそれは至難な挑戦が横たわっている。私たちは、ローコストで、少なく希少な水管理と灌漑テクニックの開発を熱望している農民と一緒になってやり遂げる。


・私たちのものは、野心的なアジェンダである。人びとは言う、私たちは野心的だがまだ何も変っていない中で波間にただよっていると。しかしいろんな資源、才能、パートナーシップにバックアップされて特別なソリューションをつくり、こうして明確な成果を上げると確信している。


・私は10年間、アフリカ問題について人とびとに耳を傾け、援助の約束をつくろうとしてきたが、具体的なアクションプランでは私を渇きに置いたままという経験をしてきた。(しかし)AGRAが現在語っていることは、明確で意味ある方法である。


アナン会長の演説はAGRAの戦略を語ってるのだが、高邁な戦略を実現するには、それを実践する部隊がいなくてはいけない。


この点AGRAのボードメンバーを見るとやりそうな陣容である。


ボードメンバーにはメリンダ & ゲイツ財団のCOOでグローバル・ディベロップメント・プログラムのトップである Sylvia M. Mathews(写真)、2001年にメリンダ & ゲイツ財団入ったが、ハーバード大学卒業、ロードスカラー、マッキンゼーで金融機関担当コンサルタント、クリントン時代の連邦政府に入り、予算局、ルービン財務長官のチーフスタッフをやっていた人物、が入ってたり、ロックフェラー財団の新事業担当バイスプレジデントの Nadya K. Shmavonian が入っていたり、タイム誌で世界に影響を与える100人に選ばれた現地のリーダーや南アのベンチャー・キャピタリストやゲイツ財団でアフリカ・プロジェクトをやっているディレクターが入っていたりと、名誉職でない実践家が理事になってるので、事業の開発力はありそうである。


以上、春に面白くなりそうなことがある話でした。