経済産業省の研究会のことです。経済産業政策局地域経済産業グループは昨年9月から「ソーシャルビジネス(SB)研究会」を開催し、月に一度会合を開きましたが、その議事録のサイトはここにあります 。(このページにはものすごい数の研究会があり、それだけで驚きますが、ソーシャルビジネス研究会は下のほうに載ってます)
谷本寛治一橋大学大学院商学研究科教授から年賀メールをもらい、そこに「昨年から経産省でソーシャルビジネス研究会が動いています。政府からの支援策も大事だと思い、いろいろと考えています」とありました。谷本先生はこの研究会の座長をやってます。
議事録のページには4回の会合の様子や、資料のところにはイギリスやEUの政策を現地調査した資料、ソーシャルビジネスらしきものにアンケート調査した結果(事業型NPOにいろいろ聞いたものを約300通集計)などがあり、研究者はこれが使えます。
報告書は3月には出るようですが、研究会の論点は
1,認知度が低いのでどう広めるか(認知度向上が重要な支援策になる)
2,資金調達方法がないので資金をどう流すか
3,既存の中小企業支援策が使えないか
4,経営支援、資金支援する中間組織をどうつくったらいいのか(大企業による支援、中間支援組織による支援、大学とのパートナーシップなどの可能性)
5,事業評価をどうやるか(SBではどのように社会性を評価するべきなのか、このように測ればよいというモデルはアメリカにもヨーロッパにもまだどこにもなく、様々に模索されているが日本でもつくることが必要)
6,大学教育などで人材をどう育成するのか(アメリカのように、ベスト&ブライテストな人材がSBに参入していくという流れが日本にはないので、そのような流れをつくる)
7、SB向きの法人をつくる(NPO法人の形態では役員に給与報酬等に制約を感じる、新しい概念の法人格を検討する必要がある)
8,SBの価値(なぜSBなのかを考えなければならない、まちづくりは行政が主導し、NPOは孫請け、ひ孫請けになっており、NPOが疲弊している現状を認識して政策を進める必要がある)
などが議論されてます。
どれもまともな議論で課題は出尽くしている感じがしました。ただ、過去の産業政策と違い、どう政策をつくったらいいのか戸惑いがにじみ出ている印象を受けました。
過去の産業政策の定番は
1、新産業ビジョンをつくる、企業はこれを指針にして投資を行う
2,政策融資、低利融資などの金融支援、新産業は大きな設備投資をするのでそこを支援する
3,税制優遇、減価償却特別償却制度、研究開発税制優遇。。。
でしたが、SBのようなソフトな産業では大きな投資をしないのでこのやり方が使えない、ここが悩みです。
ITとネット産業でも同じような悩みがあります。クリエイティブ産業の産業政策では過去の政策から飛躍してブレークスルーした政策が必要になりますが、それがまだ定着してないのがいけません。
経済産業省が既にもっている中小企業金融や中小企業振興策、ベンチャー振興策のプログラムの中で使えるものがありそうで、それを吟味するだけでもSB支援の政策はけっこうあるでしょう。
新しい資金調達方法は金融庁、大学の新カリキュラムになると文部科学省と広がって縦割り行政のもとでは実現には時間がかかってやっかいなことになるんでは、これが心配ですが問題提起にはなります。
そこでSB支援の政策なら、まずSBの新産業ビジョン、行政でも企業でも解決できない問題を解決する力があるとか、社会をよい方向へ変える力とか、見落としていた社会問題を発見してそのビジネスモデルをつくるとか、企業は社会貢献でなく社会投資をやって社会を変えるとか、こんなことを示して国民がなるほどそうだ、そっちに向かおうと思う心を育てることをやったらいいのです。
「SBで社会をよくする国民運動を起こす提案」、これがSBの新産業ビジョンです。これだけでも示せれば成功なのにと思います。
社会起業家は起業家です。この種の人材は政府の関与を嫌う性向があります。政策支援があると横を向いてしまう連中です。これも政策をつくりずらくしている理由ですが、次回はこれを考えてみます。