梅田望夫「ウェブ時代をゆく」(ちくま新書)に

『ゲイツ財団、Google.org といった新しいタイプの財団がイノベーションを慈善の領域にもたらそうと考えるとき、オープンソースやマス・コラボレーションといった「新しい仕事の仕方」「新しい協力の仕方」がその発想の原点となるはずだ。。。「世の中を良くしたい」と思う気持ちが強い人にとって、政府や国際機関といったエスタブリッシュされた世界以外での活躍の場も、ウェブ進化とともに広がっていくに違いない』
とある。


梅田さんはウェブ進化とパラレルに社会起業のような事業も進化して行くと予感している。ウェブ上のマス・コラボレーションによる社会貢献はまだ小さな芽であるが、次ぎの10年で花開き、その周囲に新しい職業が生まれる予感である。


Google.org はグーグルが上場したときできた非営利法人で、three major growing global problems:
・climate change
・global public health
・economic development and poverty
の社会問題を解決するのが目的である。


Google.org のホームページ には「創業者の Larry Page と Sergey Brin は、グーグルの利益と働く人の時間と株式の1%( "one percent" commitments)をフィランソロピーにさき、そのことがいつの日にかグーグル自身に偉大なインパクトをもたらすことを望む」と書いてある。


世界の難問解決に、ネットでイノベーションを起こしたように同じようなイノべーションを起こすぞと自信たっぷりに宣言し、それはグーグル自身をしのぐほどのことだとグーグルのつぎの野望を告げている。


そのために投入するのはまずグーグルの株式で始めは300万株の寄付、以後20年以上続ける、つぎに90百万ドルの寄付で Google Foundationをつくり、3年で175百万ドルにする、そして人材、グーグルの全ファミリー(社員のこと)とパートナー、さらに情報技術である。


グーグルのこの新しい事業のことはあまり知られていないがグーグルも社会起業へ向かっている。


グーグルはすでにこんな寄付を行っている。

・ブルッキングス研究所、20万ドル
08年に開催されるプラグイン・ハイブリッドについての連邦政策に関する会議の支援
・アキュメンファンド、520万ドル
世界の貧困を失くすアキュメンの起業家アプローチへの支援
・セバ財団、200万ドル
インド、ネパール、チベット、バングラディシュ、エジプト、タンザニア、ガテマラでのめくらになるのを防ぎ、視力を回復するプログラムを支援


寄付額のケタが一桁多いが、グーグルの勢いならこのくらいのことができる。


マイクロソフトのゲイツ、グーグルのペイジとサージェイ、イーベイのオミディアとスコール。。。みなIT企業の創業者で個人資産は数兆円、つぎはその頭脳と資産を世界の難問解決に使うぞと乗り出した。


ITのつぎは社会起業だという決意にはすごさがある