井上英之さん(慶応、ETIC.)が、このあいだマニラであった社会起業カンファレンスに参加し面白いと言ってましたが、MLでその一部を書いてました。これが大変面白かったので紹介します。


参加者は、Asian Institute of Management(1966年フォード財団などの支援でできたフィリピンにあるBスクール)の教授、スペインのBスクール、コペンハーゲンのBスクール、アショカ、シュワブ(どちらもアメリカで社会起業家を支援してる非営利法人)など、参加者の出身国は、インド、ベトナム、インドネシア、台湾、香港、中国。


井上さんの感想は、
・日本のプレゼンスない
・日本で何が社会問題なのか、東アジア(台湾、香港、シンガポール、韓国)は知りたがっていた
・学者が多かったせいか、評価の話、SROIの話がいちばんもりあがり、社会起業家精神のはず

 なのに、財団や政府がもっとこの分野を支援するようにという話が多かった
・アジア色がなく、アメリカの事例が圧倒的に多い

井上さんは、日本もこういう所でもっとプレゼンスしたほうがいいと言い、アメリカ型でなく、もっとアジア型を議論して欲しかったと不満を書いてますが、もっともです。


まず、日本のプレゼンスが少なかった点、日本側の参加者が少なかったせいでしょう。マニラ会議に日本側で送りこんだ所がどこか知りませんが、この辺りは、送り込む方の日本側で改善しなくてはいけないことです。


さて、日本で何が社会問題かと問われて、何と答えるのか。
・アメリカ型の格差拡大が社会問題を生んでるのでこれを解決する
・行政サービスの質が悪化し時代に合わなくなってきたので、社会起業が代わる
・赤字財政がひどく、もう公共サービスが提供できなくなっているので、そこを埋める
・環境、健康、文化などライフスタイルへの消費者の関心が高まっているが、市場だけでは解決

 できないので社会起業が登場するー先進国特有のぜいたくな社会問題です
とか、いろいろ日本特有の問題と解決策のチャレンジを話せばよかったんです。アメリカでも欧州でもアジアでもない社会問題、こういうのを発信することが大切です。


こうした社会問題は、遠からずアジアの国々でも遭遇することなんですから、彼らの先行指標として受け取られ、関心を呼んだんではないかと思う。


こういう所に出てきたアジアの研究者は、アメリカで教育を受けた者が多く、アメリカ文化力の支配下にまだあります。それだけアメリカの新しい文化が、アジアにも広がってる証拠ですが、年を経るにしたがいそこを脱し、自国の問題を自国流に考えるようになるでしょう。アメリカかぶれは、まだ初期現象なのです。


でも、アジアでも社会起業に関する会議が開かれるなんて、それだけこのコンセプトが世界に広がってるのには驚きました。どこでも問題は同じなんだ。


私は、Asian Institute of ManagementコペンハーゲンBスクール(CBS )も知りませんでしたが、そんなところで社会起業を教えているんです。


CBS は、1917年に設立、北欧の三大Bスクールの一つで、生徒数は15,000人と大きく、
「More and more social tasks, which the state is not able to handle, are to a high degree managed by volunteer organisations 」

「CBS enters this globally growing area and offers the elective Social Entrepreneurship 」
Bスクールとして、成長分野の社会起業に参入しのは、なかなか才覚のある経営です。


今年の春から講座は開校し、
「CBS has headhunted Dr Kai Hockerts from INSEAD 」
フランスから、若い教授を招いて開校するなんて、力が入ってます。


「the social area is important. And CBS can lift the social area importantly by providing students with management tools that can be used in a sector with a bottom line that is more complex than ordinary companies 」
北欧でも社会起業の重要性を認識し、専門の経営者を育成する気概がみえます。北欧は、環境ビジネスや携帯電話の先進地でしたが、ちょっと遅れて社会起業を始めたんです。ダッシュ力があるのかどうか、注目してます。


以上、井上さんの話を膨らませましたが、世界で今起こっている変化を見てる思いがし、すばらしいと思いました。