東京都が、定年になった団塊世代の仕事をつくる話。
都は、定年になる「団塊世代」を相手に、「成年後見人」(セイネン・コウケンニン)を公募し、来年3月をめどに、まず50人の養成を目指す。(朝日新聞 、10月16日)


成年後見人 ?  知らなかったが、ネットで調べてみると、認知症や知的障害などの老人の生活支援や財産管理を管理したり、老人を虐待から守る代理人である。高齢化社会で登場した新しい仕事で、欧米で発達し、日本でも2000年から施行されてるが、まだ4万人しかおらず、150万人の痴呆症老人の3%にしか適応されていない。


成年後見人には二種あり、法定後見人は、弁護士などを家裁が認定、任意後見人は、本人と契約し(まだ痴呆にならない正常なうちだが)、公正証書にして登記して家裁に届け出て、後見監督人(家裁が認定した弁護士)の下で仕事をする。

弁護士、司法書士、社会福祉士などの仕事だが、料金が高く(月当たり3万円から5万円)、こちらは普及していない。そこで、実際には後見人の8割は、配偶者や子供、きょうだいなどの親族がなっているが、こちらはしろうとで法律や福祉や介護実務の専門知識がなく、形式だけの後見人で、ここへ専門知識を提供する人がいる。


制度と実態が乖離してしまってるいるうえ、まだ数が少ないのが問題。
そこで東京都は、公募して半年の専門教育(法律と福祉知識と実務)で成年後見人を養成する。

家族の相談相手になり、いろんなところにつないだり、問題が生じたら解決してあげるのが仕事だが、終了者は、社会福祉協議会に登録して仕事を受注するが、このネットワークは強力なので受注しやすい。


関係者に聞くと、役人や金融機関退職者向きにはぴったりの仕事らしく、まだ認知度の低い仕事だが、PRして広げれば、目指したい人はおおぜい出てくるだろう。


社会性の強い仕事なので、退職した団塊世代にはぴったりである。ドイツには100万人の後見人がいるそうで、痴呆症老人の数からみると、そのくらいはいてもおかしくない。

社会に必要だが欠けていた仕事で、数も巨大になる可能性を秘めているので、都の試みは、成功しそうな感じである。定年になった団塊世代の救世主になるような話だが、ほんとにそうか。