その日のエンペラーは、和やかなお祭りムードで終始した。
スタッフのニコヤカな雰囲気がそのまま店全体に反映し、いつも以上に売り上げが伸びたようで、マスターはホクホクご機嫌であった。
土曜日は、いつもは閉店の後1時間位は、お客様が帰らないのだが、その日のお客様は、閉店ピッタリにお帰りになられた。
最近、長居するお客様が減り、定時であがれることが多くなったように思う。
良い事なのか…。
売り上げは、上がってるのだから、不思議と言えば、不思議だ。
ワタシは、明日の準備をすませ、掃除をしていたら、玄関ドアのあたりで、歓声が上がった。
なに事かと思って、そちらを見ると、お嬢様達に囲まれた昂大がいた。
黒服達まで、昂大のところに行き、ニコヤカに話をしている。
ワタシは、少し照れくさくて、そちらを見ないように、掃除を続けていた。
何も考えずに夢中で掃除をしていると、ホウキを持つ手を握られた。
いつの間にかワタシの目の前にきた昂大だった。
「千尋ちゃん。お疲れ様です。」
笑顔の昂大を見て、ついワタシも笑顔になる。
「来たん?」
「ウン。店の前で待ってようかとも思ったんだけど、待てなかった。」
「ゴメン。遅くなって。」
「チガウよ。マスターに聞いたけど、土曜なのに早くに終わったんだってね。」
「そうやねん。金曜と土曜は大抵遅くなるんやけどね。」
「僕は、嬉しいけどね。」