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その日、昂大はお粥を食べて、その後お昼寝もした。ワタシも一緒に。どーしても1人はイヤだと言われ、無理矢理ベットに寝かされた。
ワタシも結局ガッツリお昼寝をしてしまい、夜は出前をとった。
「寝た…。ものすごく…。」
「ウン。」
「ワタシ…こんなに寝ない。」
「ウン。」
昂大はニヤニヤ笑っている。
「しかも…。シーツのあとが顔に残ってる。」
「ウン。」
昂大は顔をふせて、声を殺して笑っている。
シーツのあとは、顔の右側をガッチリ縦に残っていた。枕の境目に顔を当てて寝ていた様だった。
「笑ってるよね。」
「笑ってないよ。」
顔をあげずに答える昂大をにらんだ。
「笑ってるよね。」
「笑ってないよ。」
どーしても笑ってないと言い張る昂大に、ため息が出る。
昂大が耳を真っ赤にしながら、やっと顔をあげて、ワタシを見る。
「一緒に暮らしてないと出会わない色々なことがあって、僕、楽しい。」
「そうだろうとも。」
ワタシがチョッピリ不機嫌に答えると、少し昂大が慌てた。
ざまぁみろ…。別に怒ってるわけでも、不機嫌なわけでもない。昂大が慌てるのを見たいだけだ。
「千尋ちゃん。怒った?」
「ワタシは怒らない。」
ワタシがそっぽをむくと、昂大がワタシの所に来て、目の前でかた膝をついた。
「ごめんね。」
「昂大が悪いわけやないやん。ワタシが枕の境目で寝ただけやから。」
「チガウ。チョッピリ笑った。ってか、かなり笑っちゃったから。」
ワタシは昂大を抱き締めた。
「ウン。笑ってくれてアリガト。」
「ん?」
「笑う元気もなさそうな位、疲れてたみたいやから、笑ってくれてヨカッタ。それにな、ワタシは関西人。こんなオモロイ事を、笑ってもらわれへんかったら、悲しいわ。」
「怒ってないの?」
「怒るわけないやん。」
ワタシがクスクス笑っていると、昂大はワタシを引き剥がして、顔を見た。
「千尋ちゃん。僕が何か気に入らないことしたら、怒ってほしいな。」
「なんで?」
「喧嘩もできないのは、悲しい。どうでもいいのかと思ってしまう。」
「そういうセリフは、女子が言うんちゃうの?」
「そーかな?」
「タブン。」
「そか。でも、いーや。とにかく、喧嘩もできない恋人なんて、恋人って言わないから。」
「ワタシが昂大の気に入らないことしたら?」
「怒るよ。喧嘩するんだ。」
「フーン。喧嘩って、今までしたことないんやけど。」
「エッ?怒ったことない?」
「ないって言うてるやん。怒られる事が大半やった。」
「エェーー。今までずっと?怒られたらどーしてたの?」
「謝ってたよ。」
「エェーー!自分が悪くない時とかあったっしょ?」
「タブン。」
「なのに謝ってたの?」
「ウン。」
昂大は頭を抱えた。
「千尋ちゃん。今までの恋人達が、なぜ出てったかわかったよ。いつも振られてたんだよね。」
「えぐらんといてよ。」
「喧嘩もできないなんて、悲しいよ。」
「ウーン。」
「わからないんだね。」
「………………………。ウン。」