影はそばにいる | さんちゃんの小説ブログ

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田島が何故、うちにやって来たのかはわからない。
天涯孤独になった、と言っていたが、詳しくは話してくれない。
田島は、いわゆる普通の常識人であったろうが、兄と母から、僕の事を聞いても、顔色ひとつ変えなかったそうだ。
で、うちに来た。
いや、うちに来た時点で、もう普通でなかったかもしれない。

中学になる歳になってから、僕は、田島と同行なら外へ出てもよくなった。
それまでは、欲しいものは、言えば貰えたし、そもそも欲があまりない僕は、欲しいものなどあまりなかった。外へ出たいとも思わなかった。
勉強も楽しかったし、兄が広い庭を使って遊んでくれて、先生や護衛達が、僕の気のすむまで、遊びに付き合ってくれたからだ。
外の情報は、ネットで充分わかるし、友達がホシイという願望もなかった。
でも、それでも、電車に乗ってみたい。行列に並んでみたい。と、少しばかりの欲が出てきたのだ。