「千尋ちゃん、じゃ、もし誰かに会った時、僕のことを彼氏って紹介してくれる?」
「ウン。」
「ヤッタァ!」
ワタシを抱き締めて、首もとに顔をうずめる。
「ん?泣いてないょね?」
「泣いてない。嬉しすぎて、どうしていいかわからない。」
「そんなに?」
「そんなに。」
「不安にさせてたんや…。ゴメン。」
「ウウン。ありがとう。」
昂大は、ワタシが思うより、ずっとずっとしんどかったんかもしれない。
我慢強いって、勝手にワタシが思ってた。
確かに我慢強かったけど、一生懸命不安を隠してたんやろなぁ。
「なぁ、昂大。」
「ん?」
「離してくれる?」
「イヤダ。もう少し。」
「んー。」
更に力を込めて抱き締める昂大の肩を、ポンポンして、
「遅刻しそうやねん…。」
「アッ。」
抱いていた腕を離して、ワタシの顔を見て、時計を見上げる。
「ヤバイ…。」
「急げば、平気。」
「ゴメン。」