今日はとても寒い冷たい雨の日。
先週満開だった桜の花びらが少し赤みがさして、冷たい雨に濡れていた。
花びらが少しずつ散り始めていた。
儚い花のいのち。
十日ぐらいかな。
寒い中重い雲の立ち込める中で見上げる桜は
なんとも儚げで物悲しくもあり「もののあはれ」をふと想う。
桜の花は『まだ私は咲いていたい~!!』という欲がない。いろいろな人から「きれいね」という言葉をかけられても、もっとずっと咲いていたいという欲望をもつこともなく、時期がきたらそのまま散っていく。
生き続けていく、生命欲がない。
枝にしがみつくようなことはせずに
潔く散っていく。
それが桜の美しさを際立たせ
人の心をここまで惹きつけるのではないか。
いのちを全うしたら、潔く散る。
人の苦しみの原因は煩悩(クレーシャ)
にあるとヨガ・スートラではいう。
煩悩の種類は5つあり
① 無知
②自己感覚(我想、エゴ)
③貪欲(執着)
④憎悪
⑤生命欲
桜の花はもっと、もっと咲いていたいという貪りがなく、咲いていることに対する執着がない(③)
咲き続けていたい、散りたくないという欲がないのだ(⑤)
自然をよ~く観察すると私たちのお手本とすべき姿がそこにある。
ずっと生き続けていくことに執着せずに
死にたくないと死を恐れるのではなく
いのちを全うして生きたら
時期がきたら
桜のように散っていくそんな美学があってもいいんじゃないかな。
桜の花びらが散りゆくのを眺めながら
そんなことを毎年想う、
そんな花冷えの日。