皆さん、こんにちは!

第4章のブログを開いてくださりありがとうございます。

(資料をたくさん貼り付けているので、ローディングに少し時間がかかるようです・・・すいません)

 

この章では「不妊治療の進み方」と題して、不妊治療をステップ別に解説していきます。

第1章でご紹介した相関図で言えば、ここに部分における解説がメインになります。

 

 

今回もPDF版「#夫の不妊バイブル」では解説しきれていなかったことを、ブログ版ではお伝えしていきたいと思います。

では、見ていきましょう。

 

 

 

 

まず最初に、不妊治療の流れを一枚の図で見ていただきたいと思います。

 

 

では、一つずつ解説していきます。

 

【ステップ1】夫婦で子作り

これは第3章でもご紹介した「妊活」ですね。夫婦で「基礎体温計測」と「排卵検査薬」の二刀流で「排卵日期間」を予測してタイミングを取ります。

 

一応、産婦人科学会が提唱する「不妊症」の定義は「1年たっても妊娠しない場合」なんですが、前述の二刀流で排卵日を予測してちゃんとタイミングを取っているにも関わらず、3ヶ月チャレンジしても妊娠しない場合は「あら?」と疑っても良いと思います

 

また、年齢的な問題もあります「妊娠にはタイムリミットがある」いうことを考えると、やはり「20才にとっての3ヶ月」と「30才にとっての3ヶ月」はその大切さが違います。年齢が高い場合ほど、「次のステップ」に進むタイミングは早めた方が良いかもしれません。

 

【ステップ2】不妊基本検査の受診

二人で妊活を続ける中で「あら?」と思い始めたら、二人で検査を受けにいきましょう
検査は産婦人科でも不妊専門クリニックでも受けることができますが、不妊専門クリニックの方が各種検査に対応している場合が多いので、僕個人の意見ですが不妊専門クリニックの方が良いのではないかと思います。

 

不妊基本検査では、「妊娠に関係するカラダの各機能のどこに原因があるか」を検査することになります。

 

検査でみる不妊原因は以下のようにまとめられます。

 

 

こうやってみると、本当に「妊娠」にはカラダの各機能が全てちゃんと機能して初めて成されるものだと気づかされますよね。

 

1点お伝えしたいことは、必ず「夫婦二人で検査を受けること」です

多くの男性が、「不妊原因は女性側にある」と思い込んでいるのですが、第2章でもお伝えしたように不妊原因の48%は男性にあると言われています。

 

上記の画像を見ても「男性の方が原因となる要素が少ない」と感じてしまいますが、実は「男性因子」と呼ばれる原因は以下のように細分化できます。

 

 

この中でも、「造精機能障害」であるケースが多いです。要は「健康な精子を作れていない」ということです。

 

不妊基本検査では「精液検査」と行って、その名の通り「精子」を提出して調べてもらいます。

精子を作る機能に関する不妊原因は、さらに以下のように細分化されます。

 

 

精液検査では、「精液量」や「運動率」、「正常形態率」や「濃度」を測定します。

測定された数値に対して、「基準値」と言われる数字よりも高いか低いかをチェックし、その状態によって症状が特定されます。

 

この話をすると「精子がいなくて子供が作れないと診断されるのが怖い」と言って、なかなか検査に行けない男性が多いのですが、上記の「無精子症」であっても精巣から精子を採取したりして妊娠を目指すことは可能です。(詳しくは後述します)

 

 

不妊基本検査の目的は「ダメな部分を見つけて落ち込むこと」ではなく、「原因を特定し、治療方針を決めること」です。

もし、男性が検査を受けず女性のみが受診し、「特に原因がわからない」というまま不妊治療に進むのは「時間」も「お金」も「体力」も無駄しに、精神的な負担を大きくします。

 

なので、必ず最初から夫婦二人で不妊基本検査を受けましょう

 

 

【ステップ3】検査結果を受けて次のステップを選択

さて、検査を終えたら次のステップを選択します。もう一度、最初にお見せした治療の進み方の画像を見て見ましょう。

 

 
ご覧の通り、検査のあとはステップが分岐します。
 
ここからは夫婦によって進め方がバラバラなので「こう進むべきだ」という詳細は書けませんが、大枠のパターンだけここではご説明します。
 

【不妊原因がわかったパターン】

検査によって不妊原因がわかった場合は、「原因に対処するための治療」と並行して「妊娠に向けた指導」を医師より受けることになります。血液検査やエコー検査によって排卵日を予測して、夫婦でタイミングをとる「タイミング指導法」からスタートする夫婦もいれば、人工授精と言って「男性の精液を採取して、それを女性の子宮内に注入する方法」を取る場合もあります。人工授精は以下のような場合に選択される方法です。

 

・精子の状態がやや思わしくない場合(極端に悪い方は体外受精/顕微授精に進むことが多いです)
・精子と女性側の頚管粘液の相性が不良な場合(精子が膣内を進み子宮内まで到達できないケースです)
・EDの方、仕事等の都合で性交渉が難しい場合

 

また、夫婦の年齢的な問題でゆっくりしていられない場合や、精子の状態が良くなかったり無精子症で手術によって精子を採取しないと妊娠が望めない場合は、検査後に体外受精や顕微授精のステップに進む場合があります。
 

【不妊原因が特定できないパターン】

検査をしても「原因がわからない」というケースは少なくありません。これは「原因がない」のではなく「特定できない」のだとご理解ください。いわゆる「原因不明不妊」と呼ばれるものうち一部は、女性側の卵巣から排卵された卵子がうまく卵管内に入っていかない「ピックアップ障害」なのではないかと考えられています。
 
原因不明であれば、多くの場合は「タイミング指導法」からスタートして、それでもダメであれば「人工授精」、それでもダメであれば「体外受精」・・・のようにステップアップしていき、ひとつひとつ原因と考えられそうな要因を確認していくことになります。
 
ただし、先ほど書いた通り夫婦の年齢的な問題などで、最初から体外受精に進む夫婦もいます。
 
 
このあたりの話は、前述の通り夫婦によってバラバラですので、かかりつけの医師と相談の上、進め方は決めた方が良いでしょう。
各治療ステップへのコメントは画像内にも書いているので、ご確認頂けますと幸いです。
 
 

■ 補足アドバイス

上記で解説した「不妊治療の進め方」をシンプルに書くと
 
1)排卵日予測をした上でタイミングを取って妊娠を目指す
2)不妊検査で原因の有無、原因を特定し、必要な処置を確認する
3)原因や年齢などの状況を考慮して、具体的な治療の進め方を決める
 
となります。
 
こう書くとシンプルなんですが、実際は悩むことになります。
というのも、「体外受精/顕微授精」は高額なうえに、通院頻度も上がり、また投薬による身体的な負担も大きくなります。
 
「体外受精をした方がいいのかもしれないが、とりあえずタイミングから・・・」とか
「仕事のことを考えると、そんなに通院できない・・・」とか
「お金・・・」とか
 
いろんな状況が絡み合い、意思決定をするための条件が複雑です。
 
そのために、上記のような「不妊治療の進め方」のフローと並行して、夫婦で以下のような事柄は事前に話し合っておいた方が良いかもしれません。
 
・予算 :いくらまでなら治療にお金をかけるか
・期間 :いつまでなら治療を続けるか
・優先度:どれぐらいの優先度で治療に取り組むのか
 
第2章でお伝えした通り、不妊治療をしても「妊娠率」は決して高いわけではなく、「流産率」は時間と共に高まります。
そんななか、「もしかしたら授かれないかもしれない」ということを、二人が認識しておくことも大切です。
 
以下は不妊治療経験者たちの声です。夫婦で認識を揃え、夫婦で治療を進める重要性が感じられます。是非、参考にしてください。
 
 
 
 
 
以上です!

 

■ 次回予告

第5章は「二人が向きあう「心の壁」」について説明していきます。

今回のブログでは「不妊治療の進み方」についてお伝えしましたが、「治療を進める中で出会う壁」について次回はお伝えしたいと思います。

 

今回も読み進めていただきありがとうございました!次回も是非、ご一読ください!

 

【今後の公開予定】

第0章 ご挨拶  

第1章 不妊治療の全体マップ 

第2章 不妊治療の夫婦のデータ

第3章 妊娠の仕組み

第4章 不妊治療の進み方      ← このブログ

第5章 二人が向きあう「心の壁」

第6章 二人が家で、できること

第7章 大切なお金のこと

 

 

<自己紹介>

 

株式会社ヘルスアンドライツ 代表取締役
妊活/不妊治療に取り組む夫婦を支援する事業を展開中。
大阪大学卒業後、外資系消費財メーカーP&Gに入社。
その後、20代のキャリア支援事業を行うスタートアップに参画し執行役員に就任。
 

自分自身が不妊治療で生まれてきたというバックグラウンド、
そして、日本が世界一の「不妊大国」であるという社会問題を解決したいという想いから、ヘルスアンドライツを創業。

現在は、不妊治療に取り組む夫婦をサポートするWebサービス開発や書籍の執筆活動、また社会に対する生殖医療、生殖機能の知識の普及を目的とした「大人の性教育」という性教育イベントを開催中。

 

・メディア掲載

AERA dot.  28歳男性が「大人の性教育男子校」を開催する理由〈AERA〉

YOMIURI ONLINE ヨミドクター 不妊と向き合う(3)男性も早めの検査を…高校保健で「加齢リスク」説明

 

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