今回のnoteは、2年ほど不妊治療を続けられている方の経験談です。
数週間前に「匿名用連絡フォーム」からご投稿をいただきました。
今回は、あまり僕の手は加えず、ほぼ「いただいた原文のまま」で掲載します。
連絡フォームから投稿を頂きましたが、普段は誰にも自身の治療のことを話せず、「ひとりで狭く暗い部屋に閉じ込められたような気分です。」とおっしゃっていました。僕は、文章からとても悲痛な叫びと、日本社会への怒りを感じました。是非、ご一読ください。
ペンネーム:HANAさん(女性)
27歳、事務職(パート)、埼玉県在住
現在も不妊治療中
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初めまして。2年ほど不妊治療をしております、HANAと申します。
自分の経験が人の為になるのではないか、と思っていたところ、このブログを見つけて投稿させて頂きました。
日頃から不妊治療を通して言いたいことが山ほどありますが、ぶつける場所も勇気もなく、日々思い悩み過ごしていました。
そんなときに、このブログと出会い、連絡をしてみました。
まずは、ざっとプロフィールと治療歴をお話しさせていただきます。
■ 私が治療を始めるまで
結婚5年目27歳、14歳年上の主人がおります。夫婦両方に不妊原因有りです。私が低AMH(※)、主人が乏精子症です。
23歳で結婚、ブライダルチェックで卵巣チョコレート嚢胞が見つかりました。嚢胞のサイズは手術するか否か微妙なサイズではありましたが、「すぐに妊娠出産を希望しているのであれば、術後半年間は妊娠しやすいから摘出したほうが良い」という産科医の判断で、仕事も辞め、卵巣にできた腫瘍部分の摘出手術を受けました。
しかしその後、半年経っても一向に授からず、手術を受けた病院に相談をしに行っても、
「取越し苦労だ。若いから基礎体温を測ってセックスすればできるから。」
と、検査もせずに門前払いされてしまいました。
その後、自己流でタイミング法を試みるも、なかなか授からず、さらにはそんな日々が続いたせいか、夫婦間に溝ができてしまいました。
そして25歳で不妊専門のクリニックに足を運び、夫婦両方に不妊の原因があることがわかりました。
「あなたはAMHが40代の平均、主人は乏精子症。若いけど、早くしないと子供できないよ。」
と伝えられ、ようやく現実を知ることが出来ました。
若いから大丈夫なんて有り得ないことなんだと思い知らされました。
■ 治療スタート
私の治療は初めから顕微授精です。今までに採卵2回、移植4回、そのうち1回が流産です。
凍結胚融解時に胚胞が死滅し、移植できなかったこともありました。
初めての移植では陽性が出たので、体外受精は1回で授かることが出来るものだと思っていました。
しかし、それは違いました。
また、以前に手術した片方の卵巣は全く機能していないことが分かりました。
主治医には
「術後の卵巣への影響として、手術では卵巣を削るわけだから、当然卵子の数も減る。必ずしも手術が良かったとは言えない。」
と言われました。
「えっ?どういうこと?」というのが、当時の正直な反応です。
「大丈夫って話じゃなかったっけ・・・?」と。
結果論ですが、
もし手術よりも先に不妊専門のクリニックに行っていたら、
採卵で今よりたくさん卵子が取れたかもしれない。
今頃、妊娠して出産していたかもしれない。
そう思うと、手術時の医者の言う事を鵜呑みにし、病気に対して受け身でいた自分に腹が立ちました。
■ 情報収集と正しい選択の重要性
このときは、セカンドオピニオンの大切さ、病気に適する病院の選択の大切さを痛感しました。
もっと早く、不妊について考える機会があり、不妊は他人事では無いことを自覚していれば、もっと適切な処置をする事ができたのではないかと思います。
私のように、不妊は他人事、避妊をしなければすぐ子供が出来ると思ってる人は沢山いると思います。
■ 狭く暗い部屋に閉じ込められたような気分
不妊治療は本当に辛いです。
周囲の理解は皆無、パート先では不妊治療いびり、何気ない一言で消えてしまいたくなるときもあります。
産科の医者でさえも、「若いから不妊治療なんて必要ない」という認識を持っているくらいです。
薬の副作用で肌も荒れるし太りやすくなります。
さらには蕁麻疹が出るようになってしまいました。
お金もびっくりするくらいかかります。
助成金は上限に達し、社会から見放されたような気になりました。(助成金を頂けるだけ有り難いと思った方が良いのは重々承知しておりますが、、、)
周りからのプレッシャーで子供が欲しいのか分からなくなってしまうときもあります。
身も心もボロボロなのに、弱音を吐ける場所なんてどこにもありません。
あるとすれば匿名のSNSくらいじゃないでしょうか。
なんだか愚痴になってしまい大変申し訳ないのですが、不妊で苦しんでいるのに「助けて!」とすら言えない人は、私以外にも沢山いるのではと思います。
■ 日本は「子供を産ませる気」なんてないんじゃないか
長くなりましたが、不妊が"体質"ではなく"病気"であることをもっと沢山の人に認識してほしいです。
そして今すぐにでも「保険適用」もしくは「手厚い助成制度」を作るべきだと思います。
経済的な理由で妊娠することを諦めなければならなかったり、治療の為に働いているのに、世帯収入が助成金の適用対象を超え、助成を受けられない人もいます。
「少子化対策」だの「人口減少で日本が滅びる」だのと言う割には、不妊治療に対する助成制度があまりにも不十分すぎます。
不妊治療はある特定の特別な人がやる治療とでも思っているのでしょうか・・・?
国が不妊治療をタブー視しているとしか思えないです。
だらだらと言いたいことを書き連ねてしまいましたが・・・何か参考になれば良いなぁと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
【僕の感想】
なんとも悲痛な叫びというか、リアルな現状を示す内容でした。投稿をいただいた頃は、ちょうど自民党二階氏の「この頃、子どもを産まない方が幸せじゃないかと勝手なことを考える人がいる」と述べた件が炎上している時期でもあり、日本における補償体制拡充に余計に不安を感じました。セカンドオピニオンの重要性、身体的/心理的負担のサポート、経済的負担のサポートなど、多くの方が身に染みて感じている課題を投稿いただきました。HANAさん、本当にありがとうございました。
【注】note内の投稿文章内に記述されている内容は、あくまで投稿者個人の意見、感想です。治療に関することなどは、ご自身でかかりつけの医師や専門機関にお問い合わせください。
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