厚生労働省が4月15日に実施した「省内事業仕分け」では、元労働事務次官の伊藤庄平氏が理事長を務める「独立行政法人労働者健康福祉機構」が対象となった。長妻昭厚労相は、伊藤理事長について、原則としてトータルで8年以上、理事長に就くことはないとする「8年ルール」があることを説明した上で、「今年中に理事長には交代をいただくことになろうかと思う」と述べた。

 労災病院グループのネットワークにより、労災疾病などに関する予防、治療、リハビリ、職場復帰に至るまでの一貫した高度で専門的な医療の提供や、労災疾病に関する研究などを行う同機構は、改革案として、「組織のスリム化」「余剰資産などの売却」「国からの財政支出の削減」の3本柱を提示した。
 組織のスリム化案としては、47都道府県に設置する「産業保健推進センター」の集約化による人員削減案のほか、現在役員、職員にそれぞれ2人いる国家公務員OB 関連の削減計画を説明。伊藤理事長以外の役員については公募をしたが、適任者不在のため、暫定任用中で、今後再公募を実施する考えだ。また職員については、定年を迎えるため、2011年度には解消するとした。

 議論では、仕分け人の山内敬氏(高島一徹堂顧問)が労災病院について、国費負担なしで、自前で経営できている状況であるのであれば、「むしろ機構が労災病院としての元締めとして機能していく役割というのは果たしてどういう意味があるのか」と指摘。「病院自身の意思と考え方の中でやっていく自主性に任せたらどうか」と提案した。
 これに対し同機構の伊藤理事長は、各労災病院の自主性に任せた場合、現在の医療環境の中では労災病院の専門性を維持していく取り組みは「維持できないのではないか」などと述べ、機構の存在意義を説明した。

 議論などを踏まえた6人の仕分け人の評価は、法人そのものの改革案については4人が、「不十分」とした。このうち、「廃止」は1人、「人員・管理費、余剰資産の更なる見直しが必要」が3人だった。


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