20日に米国の映画館で上映開始される同作品はアーカイブ映像と、夢を一心に追い続けた芸術家の真の姿を関係者らが語る、新しいインタビューで構成されている。

「自殺はいつでも多くの絶望感と混乱を残すが、セレブによる自殺は特に強烈な影響を与える」と、セラピストで研究者であるデニース・フルニエ(Denise Fournier)はアンソニー・ボーデインの死後、手記を発表。「セレブ、知名度や富に憧れる文化において、それらを全て手に入れたものが自らそれを手放すという行為はとても理解しがたいものである」

 

 家族や友人には本名のリー(Lee)として知られるマックイーンは、東ロンドンの労働者階級の生まれ。彼は父親の足跡をたどり肉体労働者になる運命だった。

 しかし、ファッションデザイナーとして際立った才能を持つ人材を発掘してきた、ファッションジャーナリストのイザベラ・ブロウ(Isabella Blow)によってマックイーンも見出された。ブロウは、マックイーンが英国の名門校、セントマーチンズ(Central Saint Martins)を卒業する際、彼の卒業コレクション全てを買い取った。

 ほぼ伝統的なロマンティシズムと、お茶目なパンクらしさを混ぜ合わせたマックイーンは、「スウィンギング・シクスティーズ」の再来ともいえる、1990年代に流行した「クール・ブリタニア」カルチャーの象徴となった。