前々回の 「ウインドフォイルの道具に関して思うこと」 と題した記事で, “私も含めた一般セイラーがウインドフォイルに第一に求めるのは微風から飛べて楽しめる事だろうと思います” と書きました。
勿論,それだけがウインドフォイルの楽しみ方ではないですが,各社フォイルの売り込み方をみてもまあ間違いでもないと思います。
ウインドでより早く走り出すためにセイルを漕ぐことを “パンピング” と言うことが多いかと思います。
一方,SUP/SURFフォイルではより早く揚力を得るためにボードを漕ぐことを “ポンピング” と言うようです。
これ,発音を真似た日本語カタカナ表記が微妙に違うだけで,どちらも英語表記は同じ “PUMPING” です。
ウインドフォイルでは両方のPUMPINGが必要になりますが,微風でより早く飛び始めるための肝は “ポンピング” です。
ウインドフォイルでそれなりに安定して飛べるようになってからの話とすると,私個人に関してはAFS105を使い始めてからって事になります。AFS105購入当初はR800とR750のフロントウイング2枚で,微風時は大きい方のR800(752c㎡)を使っていました。
手前味噌な話になりますが,津久井浜でウインドフォイルをやっている方々の中で(超軽量女性フォイラー約1名は除きます)...とはいってもまだそこまで人数居ないですけど,微風コンディションに限って言えば当時も今も一番小さいであろうセイルで飛べています...多分ねw
デカスラ8.6がブローで如何にか走り出せそうになるかなってくらいのコンディションなら,当時はR800にFLY5.1を迷わず選択していました。ほぼブローのないエリアで着水停止状態から飛び始めるのは勿論無理ですが,デカスラ8.6がパンピングしてプレーニングし始めるかな程度のブローがあればFLY5.1で苦も無く飛び始めることが出来てました。
現在の微風用メインセットはフロントウイングF800(1120c㎡)とTURBO5.5です。このセットだと学連のBICテクノがプレーニングは出来ないけど元気よくパンピングし始めるくらいのブローさえあれば飛び始めます。完全無風地帯が広範囲にあるとかいう状態でなければ,一旦飛んでしまえば後は延々飛び続けられます。
フォイルレーサーの方々を除くと,フリーフォイラーでフロントウイングを3枚揃えてるってのは身近な処では私ぐらいです。フロントウイング2枚持ってるって人すら数えるほどしか居ません。
私がF800を使い始めてしばらくすると,超微風対応フロントウイングに興味を示してアレコレ相談してくる方々が増えてきました。
言うまでもなく主眼は微風で今よりもっと飛びたいって内容なのですが,微風フォイルでの走り出しに関して思い違いをしている人が意外と多いと感じました。少なくとも私自身の経験から思う事とは完全にズレてる気がしてます。羽だけ追加購入するとしても微風用の大型フロントウイングとなると高い物だと1枚10万円前後はしますから,買ってみたけど期待してたのと全然違ったッ!なんてことにならなければいいなと...
前置きが長くなりましたが,ここから先はそんな遣り取りの中で私なりの考えを説明してきた内容の抜粋になります。基本的には小さ目アンダーセイルでの微風フォイルが前提です。
なので,デカスラより大きいセイルを使うフォイルレーサーの方々には無縁の話かと思います。
先ずは,そもそも大きいフロントウイングが本当に必要なのかです。
微風対応ならウインドと同じようにセイル大きくすればいいのでは...
元も子もない答えですが,それは人に依るです。
大きいフロントウイングと大きいセイルは勿論同じではないです...よねw
フロントウイングの大小:
飛び始める艇速と飛び続けられる艇速が変わる。
なので大きい羽の方が浮きやすくなるのと,ゆっくりでも飛び続けられる。
セイルの大小:
微風前提ならパンピングのしやすさが変わる。
体重とかにもよるだろうけど,自分の感覚だと2㎡以上サイズが違えば明らかに変わる感じ。8.0と6.0とか...
ギリギリの微風で飛び始めるにはPUMPINGで無理矢理にでも浮くことが必須だけど,自分の体重(58kg)だと6㎡前後はセイルの大小に殆ど意味はない感じ。セイルサイズが多少大きかろうがPUMPINGしなきゃどのみち飛び始めないし,飛んでしまえば6.5でも5.5でも大して変わらない。
なので,普段使っているフォイルで微風でもPUMPINGですぐに飛び始められるって方なら,フロントウイングを大きくする意味はあると思います。
次に,AFSユーザーで私と同じF800を買うか考えてる方が何人か居たので...
上記の内容と一部被りますが,その時の遣り取りです。
F800は結構すぐオーバーになります。
私の場合だと,ウインド7.5で全面完プレ出来るくらい満遍なく吹いてるとF800は5.5でオーバーです。無理せず早目にフロントウイングを小さい方に付け替えましょう。
F800は低速でも直ぐに浮きます。
でも超微風コンディションで使うのであれば,ブーム握ってただジッとしているだけではいつ迄経っても浮かないです。たとえF800を使ったとしてもPUMPINGは必須だと覚悟してください。
ジッとしてても浮き始めるくらいなら,そもそもF800必要ないくらいのブロー入ってると思うし。
最後に,ウインドフォイルでのPUMPINGに関する私個人の考え方です。
ウインドフォイルの走り出しでも勿論セイルは漕ぎます。ですが最後に板を浮かせるのは足の蹴り込みです。私も微風5.5で無理矢理浮かせる時は必ずやってます... てか,そうしないと浮かないしw
フォイルレーサーを除けば,ウインドより小さいセイルを使ってフォイルやってる人が殆どだと思うので,ウインドでも微風で走り出すの難しいくらいのコンディションなのに,更に小さいセイルじゃアンダー過ぎてパンピングが一層難しいというか無理だと感じるかもしれません。
ウインドの走り出しと同じようにパンピングしてもスカスカするだけでなので,もっとゆっくりあおぐようにセイルを漕ぎます。セイルの漕ぎ始めで足の蹴り込みをやると板が失速し易くなるので,足はボードを風下に向けたままフラットに保つことだけに専念します。
漕ぎ始めてセイル全体に風が溜まってきたなと感じたら,セイルを漕ぐ反動を使って足の蹴り込みをやります。ただしこの時,漕ぐセイルは可能な限り風下側に傾けたままぐらいの意識でマスト位置をキープしたほうがいいと思います。漕いだ勢いでマストが風上側に傾いたままだと,アッと言う間にセイルがパワーダウンして足の蹴り込みが出来なくなります。
ウインドの走り出しでやるパンピングと決定的に違うのは,パンピング自体でグイグイ加速する必要は全くないってことです。無理矢理だろうが何だろうが浮きさえすればいいんです。
パンピングで加速する必要があるとすればむしろ浮いた後です。でないと折角浮いたのに失速して直ぐ降りちゃいます。
今更当たり前の話ですが,ウインドフォイルで板を海面から浮上させるのは水中のフォイルの揚力です。
微風での走り出しで板を浮かせるのは,セイルを漕いで得た艇速によるフォイルの揚力ではなく,足の蹴り込みによるフォイルの揚力です。そもそもパンピングで加速しようと思ったって,セイルは小さいしゲロアンダーだしで,ウインドみたいには漕げませんから...
足の蹴り込みをやる下準備の為にセイルを漕ぐんです。足を蹴り込む反動を支えられる程度にセイルが風をはらんでくれてれば十分です。
微風フォイルの走り出しでセイルを漕ぐこと自体は,ウインドのパンピングより遥かに難易度低いって気がしてきたでしょw
毎度のことですが,何処にでもいるサンデーセイラーの単なる私見です。
客観視出来てない点も多々あると思いますがご容赦下さいw