"クラミジアと淋菌はいずれも細菌に分類されているが、それぞれに特徴がある。病原体の特徴をうまく利用して治療を進めていかなければ、だらだらと長引かせるもとになってしまう。 クラミジアは、自分では増殖に必要な栄養素をつくることができないので、粘膜細胞の中に寄生して増殖する。抗生物質や抗菌剤が最も効果を発揮するのは、病原体の細胞分裂の時期である。ところが、この時期、クラミジアは粘膜細胞の中に入り込んでいるので薬が効かない。ペニシリンやセフェムといった抗生物質は、細菌の細胞壁を壊すことで殺菌効果を発揮する。淋菌には有効であるが、ヒトの粘膜細胞に逃げ込んでしまったクラミジアには歯が立たないのだ。 しかし、クラミジアも潜りっぱなしというわけではない。三、四日に一度、寄生していた粘膜細胞を破って外に出てきて感染を広げる。薬が有効なのはこの時期だけなので、効きめが悪いのはしかたない。 遅れすぎている治療法のスタンダード① こうした抗生物質と病原体とのだましあいに、標準的な治療法が追いついているとはいえない。淋病にしてもクラミジアにしても、最もよく使われている薬日最もよく効く薬とはいえなくなっているのだ。 たとえばクラミジアの場合、現在、全国的に最も処方されている薬はレボフロキサシンだが、有効血中濃度を考えると、私は常用量の一・五~二倍量を使いたいところである。 淋病の場合、ひと昔前によく使われていたセフチブテン(商品名セフテム) や塩酸ドキシサイクリン(商品名ピブラマイシン)、ニューキノロン系の抗菌剤に対しては、すでに耐性をもっている淋菌が増えていて無効なことが多い。 ところが、こうした事実をしっかり認識している医者は少ないようだ。 「パートナーは別の医療機関で治療を受けている」という患者さんの場合、再発を起こすことがまれではない。" 男のクラミジアを考える