今、じいちゃんが死んじゃった。


今年入った頃から「年内もたないだろう」って言われてた。



それが今日だった。





15年くらい前からじいちゃんはボケちゃって。

最初のうちは「ボケたフリして、からかっとるんだわ!」なんて、冗談混じりで話してたけど、その後は会う度にドンドン記憶が薄れていって。

顔を見ても俺を認識してるのかどうかも分からない。


孫なのにね。






孫なのに、俺は孫として何もおじいちゃんに気持ちを返してあげられなかったな。


子供の頃あんなに遊んでもらったのにな。


プロレスごっこして、じいちゃんのツンツンのヒゲで顔をジョリジョリされるのが一番嫌だった。

痛かった。



で、泣いた。



今でもジョリジョリされたあの感覚は不思議と俺の頬に残ってるんだよね。





じいちゃんはボケちゃってから、施設に入ったり、体調崩すと病院に入院したり…。


とにかく家に遊びに行ってもばあちゃんしかいないから、なかなか会えなかった。



年に1回、親戚同士で会う正月の1回。



でもじいちゃんはみんなのこと分かってなかったんだよ、きっと。




いつの新年会かを最後に、正月すら家に戻って来れなくなっちゃって…。


俺も出来た孫じゃないから会いに行ったりしてなくて…。



で、1週間くらい前に超久しぶりに会いに行ったんだよね。


…顔見に行ってきたんだよね。




変わってた。


プロレスごっこしてたときのじいちゃんってね、背ぇ高くて、体がデッカくて、力持ちで、ヒゲジョリジョリで、絶対に勝てないチャンピオンだった。




変わってた。









一回で良いから、じいちゃんと一緒に酒を呑みたかったな~ぁ。

俺が成人したときには、もう既にじいちゃんは家にいなかったから。


じいちゃんは、お酒…好きだったのかなぁ?


あ、タバコは吸ってたね。

一度おつかい頼まれて、間違った銘柄を買って猛反省したのを覚えてる。

子供にとって200円って、めちゃくちゃ大金だからさ。

「そんな大金をムダにしちゃったーっ!!」って。



もし俺が死ぬ日が来たら、一升瓶とタバコ持ってじいちゃんに会いに行こっ。

その時はお互いじいちゃんになってのかな…。



あ、タバコの銘柄何だっけ?







今からじいちゃんに会いに行ってきます。