アスファルトに赤い木の実が落ちている。
ハトは木の実を食べるのだろうか?
1羽のハトが、アスファルトの隙間に落ちている赤い実を、一生懸命クチバシでほじくり返す。
散々苦労して手に入れた赤い実は、無常にもクチバシの隙間からこぼれ落ちる。
落とした赤い実を見失ったハトは、一生懸命足元を見渡す。
また、アスファルトの隙間に落ちている赤い実を見つける。
安心。 安心。
一生懸命、クチバシでほじくり返す。
また、落ちる。
また、探す。
また、ほじる。
クチバシは、小さい小さい赤い実をつかむのには向いてないのかい?
欲と手段がかみ合わないのはツライなぁ。
オマエは延々とその木の実を欲するが手に入らないのかい?
クチバシからこぼれ落ちた赤い実は、またアスファルトに挟まる。
赤い実を見失ったハトは、また探す。
違うハトが飛んでくる。
アスファルトに挟まっている赤い実を見つけると、器用にクチバシでサッと捕まえる。
いとも容易く赤い実を手にした彼は、クチバシに咥えたまま飛んでいく。
赤い実を見失ったハトは、まだ赤い実を探している。
あぁなんだ、お前も不器用なんだな。
赤い実を見失ったハトは、まだ赤い実を探している。
もう赤い実は手に入らないんだぜ。
残念だったな。