いじわる(1) | こんな本読んでます。

いじわる(1)

「なぁ,これから飲みに行こうぜ!」

 

 一週間分のラジオの収録を終え,地下駐車場へ降りるエレベーターの中で隆はそう口を開いた。

 

「タカ,明日がなんの日か覚えてるんだろうな?」

 

「とーぜん。 サッカーだろ?  テストは忘れても,遠足には遅刻したことないって知ってるだろ?」

 

「タカ!」

 

 ちゃかす隆を尚人は、睨みつけた。

 

「それなら、俺の部屋でいいから。 よし!決まり。 俺の部屋で飲もう!」

 

と,言うわけだから今日は俺の部屋まででいいよ。 勝手に,マネージャーにそう告げながら、先にエレベーターから出て行く隆の背に尚人は 舌を出した。

 

 

「んっ、・・・・・・やだって、タカ。しないって約束だろ?」

 

 尚人の上に覆い被さってきた隆の唇を拒む。

 

 隆はその言葉を無視するように、服の中に手をしのばせた。

 

「れん・・・・・・が、あるって・・・」

 

「やめない。尚人は俺よりサッカ-の方が好きなんだ? それなら,俺の方がいいって言うまで、ぜってーやめない!」

 

 そう言うと、再び唇を押し付けてきた。