日本に帰ってきて1年以上が経った。

アメリカに戻って音楽活動ができる状況には全くない。

日本に滞在して日常を過ごす日々。

色々なことを思う。感じる。

 

日本は本当に貧しくなったんだな、と思う。

精神的にとか文化的にとかそういう抽象的なことではなく

(実際そうだと思うが)、

現実に、経済的に貧しくなったのだと思う。

 

最低賃金が韓国に抜かれたとかそういうニュースが普通に流れてきたが、

その話は一年くらい前から言われていなかったか?と思う。

実際、アメリカでも日本の賃金はアメリカよりもかなり安いんだなと思っていた。

アメリカの友人たちからはっきり金額を聞いたわけでもないが、

僕の感覚では、アメリカでバイトやパートタイムで働きながら音楽をしているようなミュージシャンでも、僕らが日本でバイトとかしてもらっている給料の1.5倍くらいはもらっているのだろうと思う。

実際データでは、アメリカでは最低時給は1500円くらい。

アメリカでライブをやると、チップなどで10ドルや20ドルをポンと頂くことはしょっちゅうだった。

10ドルや20ドルといえば、1000円から2000円くらいである。

日本にはチップという習慣がないにせよ、何人もの人たちがそんな金額をポンとバンドマンに渡すような光景を、日本で見たことは一度もない。

 

でもアメリカは物価も高いよね、と言われる。

確かに食事は高い。外食では2000円くらいは当たり前だった。

でもライブのチケットは安いし、お酒も高くない。

楽器も安かったと思う。

関税がないから日本で買うより安いのはわかるが、グレッチなども数万円で売っていて、買おうかどうしようか本気で悩んだことがある。

アメリカで楽器を買う方が安いんだなあ、とその時思った。

車の免許をアメリカで取ったが、これも数千円で取れた。

テストと実地は自分次第。とにかく必要な手数料は数千円。

日本ではありえない。

車検は一年で3000円もしないくらいだった。

日本では10万円以上する。

車検制度は全く違うから簡単には比較できないが。

ガソリンも安い。リッターでは半額くらいかな?

これはアメリカの国力や製油会社のパワーゆえだろう。

高速道路も安い。

日本で東京大阪間くらいの距離で2000円くらいだったような気がする。

医療費に関してはアメリカはとても大変。

これは日本が世界に例を見ないくらい安いのだね。

そんな医療が崩壊しそうだ、と言われているのは本当に恐ろしい。

とにかく、何でもかんでも全てがアメリカの方が高いというわけではない。

外食は高いが、自炊すれば気にならないし。

日々を楽しむためのようなものはアメリカの方が安い気がしていた。

 

日本はどうだろう。

食費は安い。だが車を持ったりライブを楽しもうとすればとてもお金がかかる。

食べ物は安いが、海外で禁止されているような添加物がバリバリ入っていたりする。

僕らは一体何なんだろう?と感じる。

薬だらけで安く大量生産された食べ物を食べて、

安い賃金で働き、楽しいことをやりたい時はしっかり金を払えよ、と

言われているのか?

食べて生きるだけで精一杯の賃金で、その食べ物は粗悪な物。

これでは奴隷じゃないか。

 

日本の政府は、海外から労働力を迎えようなんて言っているが、

賃金が安く環境の劣悪な日本にわざわざ働きに来る人なんているのかな?と本当に疑問だ。今のままだと数年後にはアジアの中でもかなり安い賃金の国になるだろうに。

 

さあ大変だ、なんとかしなきゃ、と思って

我が指導者たちの声を聞こうと思って国会中継を見ると、

だめだこりゃ、とがっかりする。ただただ失望する。

我が指導者たちは、僕ら奴隷のことは何も考えていない。

だってただの奴隷だものな。彼らにとっては。

僕らは働かせて金を吸い上げるためだけに存在しているのか?

僕らの生き死よりも、自分の立場と金なのだろう。

日本を改善しようという気もない。

もうどうしようもない、とお手上げなのか、

何から手をつけたらいいのかもわからないのだろうな。

愛国心なんて言いながら、どんどん国を破壊している。

自覚もないのだろう。あとは自分たちの立場を維持するためか。

そして今もその指導者が支持され選挙で票を得ている。

ちゃんと守られているわけだ。奴隷の僕らによって。

奴隷の僕らは本当に馬鹿だから、指導者たちは扱いやすいだろうな。

 

僕はイデオロギーには興味がないが、事実として起きていることだけ見れば

僕らの賃金は安く、指導者層の間では収賄や汚職が山ほどある。

原発の処理は全然終わらず、巷では陰謀論が次々湧いてきたり、大騒ぎのリコール署名ではほとんど不正なんていう、イカれた出来事が次々起こる。

本当にすごいよな。

僕らがこの国をそうしているのだから仕方ないのか。

 

この国は、政治的発言をするかしないかなんてことが話題になるような幼稚な国。

誰であれ市民国民としてここで生きているのだから、

その生きている感覚でものを言うことの何がおかしいのか、僕には全くわからない。

いずれにせよ、一般的にはそういう発言をする人間は煙たがられるのだろう。

関係ないけど。

 

権力者を笑い飛ばすはずのお笑いも、権力と仲良くなるという笑えない世界。

有名人はサロンを開いて、「ファン」「信者」と名前を与えられた人が金をしょって集まり、なけなしの金を貢ぐ。

ちゃんと自分で選んでいる、ということになっているが

選択肢は誰かに握られている。

本当に奇妙なことがたくさん起きている。

 

ただ事実を列挙するだけで本当に貧しくどうにもならない国になったなと思う。

自己責任なんて言葉が流行ると、誰も周りの人を助けなくなった。

他人を助けることもなく、自分を助けてくれる仲間もなく、六畳一間で1人で死んで腐っていく。

これが僕の国。

 

アメリカで暮らしていて、いつもいいなと思うことがあった。

どんな人でも、必ず挨拶をするのだ。

スーパーでもカフェでも店員とは必ず挨拶をする。

必ずお互いにお礼を言う。どこでも。相手が誰でも。

朝、散歩をしていると、見知らぬ外国人の僕に対しても道ですれ違えば挨拶をする。

それが当たり前のことなんだよな、と思う。

僕は日本に帰ってきて、同じようにコンビニでもスーパーでもお礼を言ったり、

道を譲ったり譲られたりした時にお礼を言ったりしているが、

返事が返ってくることはほとんどない。

人間らしくない。フランクさがない。笑顔もない。

これが僕の国。

 

クールジャパン、なんて冗談みたいなこの言葉も

最近はあまり聞かれることは無くなってよかったが、

こんな恥ずかしい言葉は早く葬ってほしい。

先人たちのクールな文学も映画も音楽も文化も、

日々確実に食い潰されている。

これが僕の国。

 

僕がこういうことを書くのは

イデオロギーなどという、

くだらない矮小化された問題について言いたいからではない。

イデオロギーなどでぎゃあぎゃあ言っていられた時代はまだ平和だったと思う。

もはやそんな時は過ぎた。

これは生存の問題なのだ。

生きるか死ぬかの問題なのだ。

奴隷として絞り取られて死ぬのかどうか。

 

僕は人間らしく、1日でも長く仲間と楽しく生活と仕事と芸術を楽しんでいたい。

そのためなら闘う。努力も惜しまない。

 

祖国に返って一年以上が経ち、

日々思うのはそういうことばかり。

これが僕の国。