台風の時期って、家の中もなんだか湿度が高くてべたべたした感じがしませんか?
そういうのがすごく嫌で、外にも出られないしなんだか気分がもやもやとします。
早く秋になればいいのになあ。
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ちょっと、俺はイライラしていた。
『俺のものになって』
そう智に言われてからというもの。
他の3人もなんだかむきになって俺の傍にいようとするようになったのだ。
いつも仲のいい4人が、なんだか俺を間に挟んでにらみ合っているようなのがとても居心地が悪かった。
智が卒業してしまったら今までみたいに会えなくなってしまうのは本当に寂しいと思ってる。
でもだからって俺たちの関係が壊れるなんて思ってないし、俺の気持ちだって変わらない。
智たちが言うように『俺のもの』っていうのが物理的なものじゃなくて俺の気持ちっていう意味なら、俺は4人が好きだし俺の気持ちは『4人のもの』ってことになる。
それじゃあだめなのかな・・・・。
「ねえニノ」
「ん-?」
放課後、生徒会室へ行くとニノがすでに来ていてスマホでゲームをしていた。
「ニノは、俺を『自分のもの』にしたいと思ってる?」
俺の言葉にニノはぴたりと動きを止め、顔を上げて俺を見た。
「・・・・大野さんに、またなんか言われた?」
「ううん。そういうわけじゃないけど。ニノはどう思ってるのかなって」
「・・・・大野さんみたく直接的な言い方はどうかと思うけど、でも俺も気持ちは大野さんと同じだよ。潤くんが好き。潤くんが、俺のことだけを好きになってくれたらいいと思ってる」
「・・・・」
ニノが、まっすぐに俺を見つめる。
その視線があまりにもまっすぐで、俺は照れるのも忘れて黙っていたけれど・・・
「でも、あの3人のことも好きだよ」
「え・・・・」
「たまに言い合いもするけどさ、俺たち険悪になるような喧嘩ってしたことないんだよ。基本的にみんないい人じゃん」
「ん・・・・だね」
「だから、潤くんが誰を選んでも俺たちの仲が悪くなることはない。それだけは確かだから、心配しないで」
「ニノ・・・・」
この人たちは、本当にいつでも俺の気持ちを理解し先回りして安心させてくれる。
俺の不安な気持ちなんて、この人たちには全部わかってるんだよな・・・・
その時、ふと俺はあることを思い出した。
「・・・・ニノ、ありがと」
「どういたしまして」
優しく笑うニノに、俺も笑った。
「ニノ、俺ね」
「うん?」
「俺も、4人が大好きだよ」
「そう言ってくれるの、嬉しいよ」
「それで、4人に俺からお願いがあるんだ」
「お願い?」
「うん」
そう言ってにっこり笑うと、ニノは不思議そうに俺を見つめたのだった・・・・。