潤くんの成長期。
背が伸びるのと同時に、ぷくぷくの可愛い男の子から、艶のある綺麗な美少年に。
そんな潤ちゃんの成長を間近で見ていた4人がうらやましいなあと思います。
さてさて。
そろそろ現実の潤くんの新しいお知らせも欲しいところですね・・・。
。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・
もうすぐ潤くんの誕生日。
その日に向けて、俺たちは誕生日プレゼントを考えるのに余念がなかった。
そんな日々の中、潤くんに対する周りの反応が前とは少しずつ変わってきていることに、俺らは気付いていた。
もともとそのかわいらしい容姿で目立つ存在ではあったんだけど、ここのところそれに拍車をかけているというか・・・
「なあカズ、お前の弟ってなんか綺麗になってない?」
と、今日もクラスメイトに言われた。
「前から可愛い顔してるなあと思ってたけどさ、最近それよりもきれいっつーか、美人?俺の姉ちゃんも言ってたんだけど、なんか色気があるって」
「あ、バレー部の先輩も言ってた。バスケ部の練習中に汗拭いたり水分補給してる姿が妙に色っぽくて見てるとドキドキするって」
「だよな。前からあんなにきれいだったっけ?なんかあった?」
勝手に盛り上がるクラスメイト2人に、俺は冷たい視線を投げる。
「何もないよ。変な目で見るんじゃないよ、俺の大事な弟を」
「だってさー、ついつい見ちゃうじゃん、あんなにきれいだと。前はお前ら兄弟のブラコンっぷりって気持ちわりいって思ってたけど、あんな弟がいたらしょうがないかもなんて思うもん」
「だよなあ。俺の弟と全然違う」
「一緒にすんなよ」
「何だよ!」
けらけらと笑うクラスメイト達を横目で見ながら。
これはやばいと思い始める。
今まで『かわいい』とは言われてても『きれい』と言われることはなかったと思う。
大きな瞳で伏目がちに視線を落とす姿とか、長い睫毛が汗で濡れてる表情とか、赤く上気してる頬とか、白い肌を伝う汗とか―――
とにかく、色気があるんだ。
その瞬間、息をのむほどきれいで・・・・
そんな姿を他のヤロウどもに見せたくなくて、俺はちょっとイライラしていた。
ぷに
突然、俺のほっぺたに潤くんの指先が・・・
「カズ、何怒ってるの?」
部活からの帰り道、潤くんが不思議そうに俺を見つめる。
「お、怒ってないよ」
「そう?眉間にしわ寄ってるから」
「別に・・・怒ってるわけじゃないから」
「そうなの?どっか具合悪いとか?」
「全然、違うよ、大丈夫」
心配そうに俺を見つめる潤くんにそう言って笑って見せると、ちょっと前を歩いていた雅紀が俺を振り返ってにやりと笑った。
「カズは、すねてるんだよね」
「すねてる?」
「雅紀!余計なこと言うなよ!」
「ホントのことじゃん」
「何ですねてるの?」
「潤くん、いいから!」
「え~、知りたい」
口をとがらせる潤くんはかわいいけど、にやにやしてる雅紀が俺の心を見透かしているようでむかつく!
「潤が、最近注目されてるのが気に入らないんだよな?」
「雅紀!」
「注目?俺が?」
きょとんと、潤くんが首を傾げる。
「潤くんは・・・・気付いてないでしょ」
「え・・・なにそれ。俺、なんかした?」
「そうじゃないよ、潤」
雅紀が苦笑して潤くんの頭を撫でた。
「潤が、大人っぽくなったからさ、周りのやつらがどきどきしてるの」
「大人っぽく・・・・?俺が?」
まったくわかってない感じの潤くん。
これだから困っちゃうんだ。
「・・・潤くんが、きれいになったって俺のクラスメイトも言ってたよ」
「うん、俺の友達も言ってた」
「そうなの?でも・・・カズだって背え伸びたし大人っぽくなったじゃん」
「まあね、カズも成長はしてるけどさ。そういう、成長期の成長とまたちょっと違うって言うか・・・なあ?カズ」
「雅紀の言い方じゃ全くわかんないよ。・・・とにかく、潤くんのこと見てるやつらがいっぱいいるの。だから、今まで以上に気をつけないとまた変なやつに目えつけられると困るじゃん」
そう俺が言うと、それでも潤くんはわかってないような顔で俺を見た。
「ふうん・・・?でも、それは俺が気をつければ・・・・カズ、俺のことばっかり気にしないでいいからね?」
「潤くん、そういうことじゃないんだ」
「え?」
「潤、いいんだよ」
そう言って、雅紀が潤くんの肩を抱く。
「でも、変なやつが近づいてきたときはちゃんと俺らに言ってね。俺らが知らないとこで潤が傷ついたりするのだけは、いやだから、ね」
「ん・・・・わかった」
潤くんはちょっと笑って・・・。
でも、その時の潤くんの表情は何かを言いたげで・・・・
まだ、俺らの知らないことがあるんだなと、俺も雅紀も思っていた。
『Happy Birthday!潤!!』
4人の声がきれいに揃い、潤くんがケーキのろうそくの火を一気に吹き消した。
「これで、潤も13歳。カズとまた同じ年になったな」
翔くんの言葉に、潤くんも嬉しそうに笑う。
「うん。これでまた末っ子2人だね」
「え、潤くん、もしかしてそれ気にしてんの?」
俺が笑って言うと、潤くんが口をとがらせる。
「ちょっとね。だって3ヵ月しか違わないのに、1歳上の間のカズ、すごい偉そうなんだもん」
「そんなことないでしょ!俺偉そうにしてないよ!」
「偉そうだよ」
「確かに、偉そうだよなあ、カズは」
智の言葉に翔くんも雅紀も頷く。
「うわ、みんなひでえ!俺のことそんな風に思ってたの?俺は潤くんのお兄ちゃんとして頑張ってたのに!」
大袈裟にがっかりすると、みんなが笑う。
まったく・・・。
潤くんへの誕生日プレゼントは、4人で相談し潤くんが好きな紺色のバッグにした。
たまにどこかへ遊びに行こうとなった時に一番荷物の多い潤くん。
俺なんかはほとんど手ぶらでスマホくらいしか持たないことが多いけど、潤くんは飲み物やハンカチ、ティッシュの他にも目薬や飴、ガムなどなど、とにかくいろいろ持って行きたがるからいつもバッグがパンパンに膨らんでる。
なので、そういうものが全部入り、中にポケットがたくさんついているバッグを選んだのだ。
何をあげても潤くんは喜んでくれるけど、これは本当に目をキラキラさせて喜んでくれて、俺たちも心の中でガッツポーズを決めていた。
いや兄貴たちがどうかわからないけど、きっと同じ気持ちだったはず。
ケーキは今回は隣駅のちょっと有名なケーキ屋さんに前もって予約しておいたやつで、潤くんの写真を使った特注ケーキだった。
料理も今日は4人で作り、潤くんに喜んでもらうことができた。
キラキラの笑顔が見れて、俺たちはそれだけで幸せだった。
とにかく、潤くんが笑っていてくれればいいんだ。
それ以上のものなんて――――
何を望む・・・・・?
「今日は、本当にありがとう。料理もケーキもおいしかったし、プレゼントも最高だったよ!」
そろそろ誕生日パーティーもお開き、というところで潤くんが言った。
「そう?潤が喜んでくれたならよかったよ」
翔くんも満足そうだった。
「うん。でね・・・・。俺から、みんなに言いたいことがあるんだ」
そう言って、潤くんはおもむろに立ち上がった。
「何、改まって」
雅紀が笑ってそう言ったけれど。
でもなんとなく、みんなに緊張が走ったのがわかった。
潤くんが、俺たち4人の顔を見渡す。
俺たちは、黙って潤くんの言葉を待った。
「・・・・これを言ったら・・・・もしかしたら、皆に嫌われるんじゃないかって、思ってた。今までと同じように一緒にいられないんじゃないかって」
「潤くん、そんなわけ・・・・」
「うん。たぶん、そんなことないと思う。4人は俺のこと嫌ったりしないし、何があっても俺と一緒にいてくれる・・・・よね?」
『もちろん!』
「ふふ。ありがと。だから・・・・思い切って言うよ。でも一つ、約束して。今から俺が言うことに対して、何を思ったとしても、今日は何も言わないでほしい。言い逃げになっちゃうけど・・・・。俺、言いたいこと言ったら部屋に行って寝るから。いい?」
その言葉に、さすがに俺たちもちょっと不安になって顔を見合わせたけれど。
「・・・わかった。潤がしたいようにしな」
智がそう言って、俺たち3人も頷いた。
「ありがと。じゃあ・・・・言うね」
何となく、俺たちはごくりとつばを飲み込む。
「・・・・俺の好きな人の、こと」
どくんと、胸が鳴る。
潤くんの誕生日に、俺らそれを聞くのか・・・・?
「俺が好きなのは―――」
「今、目の前にいる、4人だよ」
そう言って潤くんは、極上の笑みを浮かべたのだった・・・・。
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