ようやくここまで来ましたって感じです。
ここからは、明るいお話になっていくはず、です。
思った以上に大野さんが悲しんでしまったのでわたしも責任を感じてます(?)。
ちゃんと2人には幸せになってもらいたいと思ってます。
ちょっといじめてしまったけど・・・・
これは愛情の裏返しです。



。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・:*。・

 

潤と最後に会ってから、もう1週間が経っていた。

その間俺がどうしていたかというと。

まるで仕事に集中できなかった。

締め切りには間に合わないし仕事の電話にも出れない。

まったく何も手につかない状態だった。

『ごめんなさい、大野さん、ちょっと体調崩してて』

家にまでやってきた担当者には、相葉ちゃんが対応してくれていた。

そして―――



「大ちゃん!そろそろ何とかしてよ!俺だって仕事あるんだから!」

さすがに相葉ちゃんがキレた。

「え―・・・相葉ちゃん、怖いな」
「怖いなじゃないよ!いつまでそうやって落ち込んでるつもり?」
「だってさ・・・・」

ベッドに寝転がったまま俺がため息をつくと、相葉ちゃんもため息をついてベッドに座った。

「気持ちは、わかるよ。でもさ、このまま落ち込んでたってなにも変わらないじゃん。そんなに潤ちゃんが好きなら、潤ちゃんにそう言えばいいじゃない」
「だって・・・・」
「翔くんやニノがなんて言ったって、大ちゃんは潤ちゃんが好きなんだし、潤ちゃんだって大ちゃんのことが好きなはずだよ。潤ちゃんてちょっと変わってるけど、きっと大ちゃんがちゃんと気持ちを伝えればわかってくれるよ」
「そうかな・・・・だとしても潤はあの2人と・・・」

潤が翔くんやニノに抱かれていたという事実。
俺は、心配する相葉ちゃんに話していた。
最初は潤ちゃんに腹を立てていた相葉ちゃんだったけど―――

「どういう事情があったのかは知らないけど、きっと潤ちゃんにとってはそれはそんなに重要じゃなかったのかもしれない。好きだから抱かれた、みたいな、素直な気持ちだったんじゃないの?潤ちゃん見てるとさ、そんな気がするんだよ。全然悪びれないっていうかさ」

相葉ちゃんにそう言われて、それはそうなのかもしれないとは思った。
潤にはそこに、罪の意識なんてなかったんじゃないかって。
でも俺は。
やっぱり、潤が他の男に抱かれるのは嫌だった。
俺のことを愛してるって言いながら、あの2人にも抱かれてるなんて、そんなのは、嫌だった・・・・。

「それを、ちゃんと伝えればいいんだよ。翔くんやニノとはえっちしないでって。そう言えばきっと潤ちゃん、わかってくれるんじゃない?」
「そう・・・・かな・・・・」
「それとも、大ちゃんは潤ちゃんがそう言ったとしてももう付き合いたくないの?潤ちゃんが翔くんやニノに抱かれてたってわかったら嫌いになるの?」
「嫌いになんて、なれないよ」
「なら、ちゃんとそれを伝えなきゃ。たとえ他のやつに抱かれてても好きだって。だから、これからはやめてって」
「・・・・・うん」



相葉ちゃんが部屋から出て行き、おれはしばらくスマホを手に動けずにいた。

相葉ちゃんの言う通り。

他の男に抱かれてたからって、俺は潤を嫌いになれない。

1週間、潤に会えないというだけで、もう会いたくて会いたくてたまらないのだ。

・・・・・・

「よし!」

俺は声に出して気合を入れると、潤に電話をかけた―――けれど。

『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』

―――え?

解約、した?

せっかく決心したのに・・・・

俺はいてもたってもいられず、服を着替えると部屋を出た。

「大ちゃん?こんな時間にどこ―――」
「ごめん相葉ちゃん、ちょっと行ってくる!」

あっけに取られている相葉ちゃんを後に、俺はサンダルをひっかけ外に飛び出したのだった・・・・。




隣のマンションのエントランスにつくと、俺はマンションの呼び出しボタンの前に立ち潤の部屋番号を押した。

が、応答する気配がない。

ポストはあるが、このマンションのポストは部屋番号のみで名前の表示はない。

夜の11時。

もう寝ているのかもしれないが―――

俺はあきらめきれず、潤の部屋のポストの前に行った。

メモ帳とか、何か持ってくればよかった。

書置きとか残せば―――

そう思った時。

「何してんの、おっさん」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえ、俺ははじかれたように振り返った。

「ニノ!」
「・・・・お久しぶりです」

相変わらず飄々とした態度。
でもなんとなくその目に、優しさのようなものが見えた気がした。

「あの、潤は?」
「・・・・ここにはもういませんよ」
「え・・・・?いないって」
「引き払いましたから」
「引き払ったって・・・・じゃあ、潤は今・・・」
「家にいますよ。翔さんの家に」

その声は、心なしか苦々しさが滲んでいるような気がした。

「それ、遠いの?」
「は?」

ニノが訝しげに俺を見る。

「潤に・・・・会いたいんだ」
「・・・・会って、どうするつもりですか?」
「俺の気持ちを伝えたい」
「気持ち?」
「俺は・・・・やっぱり潤が好きだ。たとえ潤がお前や翔くんに抱かれてたとしても―――俺は潤が好きだし、潤と一緒にいたい。それを伝えたいんだ」
「・・・・もし、潤くんに拒否されたらどうするんですか?」
「う・・・・・それでも、俺は・・・・潤を諦めたくない・・・・」
「・・・・・」

ニノはじっと俺を見ていたけれど―――

「来てください、一緒に」
「え?」

ニノが、俺の腕をつかむとそのままマンションの外へと引っ張って行った。

「ちょ―――ニノ?どこへ―――」
「いいから。潤くんのところへ、連れて行きますから」
「―――!」

驚く俺の腕を掴んだまま、ニノはまっすぐに突き進み―――

「お、おい!あぶなー――」

そのまま、道路へと飛び出した。

車が、まるで俺たちが見えないかのようにブレーキもかけず走ってくる。

―――ぶつかる!

そう思った瞬間。



「・・・・え?」

俺とニノは、見たこともない森の中にいた・・・・。

 

 

 


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