そうそう、こんなお話でしたね。
「潤、また野球してきたの?」
「あ、しょおくんただいま!ううん、今日は公園で遊んでただけ。あのね、ニノに会ったよ」
「ニノ?ああ・・・・あいつか」
楽しそうにはな歌を歌いながら手を洗いに洗面所に入っていく潤の後ろ姿を見送り、ちょっと溜息をつく
潤は今年小学5年生になる俺の弟。
俺は今大学1年で、年の離れた潤が可愛くて仕方ない。
ずっと俺のあとをくっついて歩いていた潤が、たまたまテレビで見た野球に魅了され、少年野球のチームに入ったのは去年のこと。
すぐにチームにも溶け込み、友達も増えた。
土日も野球の練習や試合があり、前ほど俺にくっついてくることがなくなってしまったのが寂しかった。
そして、新たにできた悩みが。
「あのね、ニノのチームに新しい子が入ったんだって。今日、その子と一緒だったんだよ。ニノんちのお隣に引っ越してきたんだって」
「へえ」
「ニノよりもおっきくてね、優しそうな子だったよ。仲良くなれそうな気がする」
「・・・・よかったな」
「うん!」
無邪気に笑う潤。
その笑顔はまさに天使。
それは俺だけのものだと思ってたのに。
―――いや、俺だけのもの、ではないか。
「お、潤、帰ってたのか」
「智!お仕事は?」
寝ぼけ眼で登場したのは長男の智。
俺の1個上で、今イラストレーターとの仕事をしていた。
なかなかの売れっ子で、部屋にこもって仕事をしていることが多い。
「ん。今日はもう終わり。潤、おやつ食った?」
「ううん」
「ダメだよ智くん、もう5時過ぎてるんだから、今食べたら夕飯食べられない」
「お、もうそんな時間か。そういや腹減ってきたな」
そう言ってふにゃっと笑う。
のんきそうに見えるけど・・・・
俺はこの人に頭が上がらない。
俺たちがこうして一緒に生活できるのは、智くんのおかげだから・・・・
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