あ、こんなのも書いてた
凄い、ほんとに綺麗に忘れてた
いや~、懐かしいの通りこして新鮮だわ
「カズぅ・・・」
「ん?潤くんどしたの?」
教室の後ろの扉のところで、潤くんが俺を呼んでいた。
その目は心なしか潤んで見えて・・・
「!」
俺は慌てて潤くんに駆け寄った。
「潤くん?」
そっと頬に触れる。
真っ白な肌がほんのり赤く火照っていた。
「・・・いつから?」
「・・・朝は、平気だったよ。3時間目くらいから・・・」
「帰ろ。俺、先生に言ってくるから、教室で待ってて」
俺の言葉に潤くんはこくりと頷くと自分の教室へと歩き出した。
ちょっとふらついてるように見える。
潤くんは熱を出しやすい。
特に季節の変わり目は体調を崩すことが多いから、俺も気をつけて見てたつもりなんだけど・・・
俺は職員室に行く前にLINEで3人の兄貴に連絡した。
「熱があるんです。早退させてください」
職員室にいた潤くんの担任を捕まえ単刀直入に言う。
「保健室には行ったのか?」
「行かなくても分かるよ。今は微熱だけどすぐ病院連れて行かないとどんどん熱が上がって1週間は動けなくなる」
「でも────」
「潤くんのことは俺が1番知ってるから!」
「俺ら、だろ?」
後ろから、頭をポンと叩かれる。
「翔くん・・・」
翔くんはちょっと頷くと先生の方を見て姿勢を正した。
「すいません、先生。悪化する前に病院に連れて行きたいんです。潤は、市販薬が使えない体質なんで」
「・・・わかった。しかし、保護者が迎えに来ないと帰すことは────」
「大丈夫です。今兄が来ますから」
にっこりと微笑む翔くんに、先生はため息をついた。
「お前らには適わねえよ」
「じゅーん、大丈夫か?」
俺と翔くんが潤くんの教室へ行くと、既に智が到着していて潤くんの傍らにかがみ込んでいた。
「潤のことになると早いね、智くん」
「んぁ。熱、上がってきてるみてぇだからすぐ連れてくよ」
そう言って膝をつき背中を丸めた智。
「潤、智兄の背中に乗るよ。立てる?」
雅紀が潤くんの体を抱えるように椅子から立たせると、智の背中に潤くんを背負わせた。
「頼んだよ、智くん」
「おう、任せとけ」
にやりと笑う智。
いつもはぼーっとしてるけど、何だかんだ長男だけあってこういう時は頼りになるんだ。
「潤くん、大丈夫?」
家に帰った俺は、そっと潤くんの部屋の扉を開けた。
「カズ・・・ゴメンね、いつも────」
「全然。いつでも頼ってよ。何か欲しいものある?」
「なにも・・・」
「潤くん、いつも言ってるでしょ?遠慮しないでよ」
「じゃあ、水・・・」
「ん。オッケー。待っててね」
俺はそっと潤くんの頬を撫でてから部屋を出た。
キッチンでコップに水を注ぐ。
「カズ、偉かったな」
いつの間にか、後ろに智がいた。
「・・・何が」
「連れていくのが早かったから、熱ももう下がってきてる。カズが知らせてくれたおかげだよ」
「・・・俺は何もしてないよ。潤くんが俺のとこに来なかったら気づかなかった」
「クラスが違うんだからしょうがねぇよ」
それでもまだ納得出来ない俺の頭をぽんぽんと叩くと、智は冷蔵庫を開けた。
「今日は卵がゆだな!」
いつも潤くんの看病をしているせいで、智の得意料理は今やすっかり卵がゆだ。
美味しそうに食べる潤くんの笑顔は天使そのもの。
俺も今度、潤くんの好きなもの作ってあげよう。
とりあえず今は、潤くんのためにお水を持っていこう。
俺たちの天使のために・・・
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