ようやく解決編に入れましたね。
ちょっとだらだらした文章になってしまいましたが・・・・
楽しんでいただけると嬉しいです。


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「何事?」

ニノが楽屋に入って来るなり頭を掻きながら言った。

「ちゃんと説明しろよ、こんな朝早く招集して・・・・」

先に来て新聞を読んでいた翔ちゃんも眉をしかめて顔を上げた。

「ごめんごめん、マスコミに見せる前に、メンバーに見て欲しかったんだよ」

俺は潤を座らせ、自分も隣に座りながら口を開いた。
潤のもう一方の隣にはリーダーが眠そうな顔で座っていた。
潤が隣に座ると途端にごろんと横になり、潤の膝に頭を載せようとするから慌てて潤の体を引き寄せる。

「ちょっとリーダー!寝ないでよ!リーダーにもちゃんと見てもらわないと!」
「んぁ・・・・ねみぃ・・・・」
「ごめん、これで全員揃ったからさ、すぐ見て、その後ならいくらでも寝ていいから」

俺の言葉にリーダーがしぶしぶといった様子で体を起こした。
俺はほっとしながら持っていたバッグの中から1枚のDVDディスクを取りだした。

「・・・とりあえず、これを見て欲しいんだ。俺と潤はもう見たんだけど」

言いながら、潤が持ってきたノートパソコンに外付けのDVDプレイヤーをセットし、再生させた。



映し出されたのは、コンビニから出てきた潤の姿だった。
手にはコンビニの小さなビニール袋。
足早に去ろうとする潤の後ろから、唐突に若い女が現れた。

『松本さん?』

その声に、潤が振り返る。
ベージュの長いコートを着たその女は潤に駆け寄った。

『わぁ、やっぱり松本さん!こんなところで会えるなんて嬉しい!』

女の異様なハイテンションに驚いたのか、潤が一歩後ずさる。

『わたし大ファンなんです!握手してもらえませんか?』
『え・・・はい』

そう言って、潤が手を出した時だった。

『キャー!!嬉しい!』

そう高い声をあげたかと思うと、突然その女が潤に抱きついたのだ。

『ちょ―――』

慌てて体を離そうと女の腕を掴んだ潤。
その時―――

『パシャッ』

カメラのシャッター音が響き、画面が白い光で一瞬何も見えなくなった。
次の瞬間、どこから現れたのか、黒ずくめの格好をした男が2人にカメラを向けていた。
そして男が踵を返して走り出そうとするのを、潤は咄嗟に追い掛けて男の目の前に立ち塞がった。

『待て!―――あんた、どこの人?』
『・・・・○○社です』
『○○・・・・その写真、出すつもりですか?俺のコメントはいらないの?』
『答えてくれるんですか?』
『もちろん。俺が言ったことを正確に載せてもらえるなら』
『じゃあ・・・・あの女性とはいつからお付き合いを?』
『付き合ってません。今声をかけられただけです』
『なるほど。今お付き合いしている女優さんと二股というわけですか』
『・・・・そういう話にしたいってことですか。それならもう話すことはありません。僕の言ったこと、一字一句間違えずに載せてくださいね』
『答えてくれないんですか?彼女は二股されていると知らないんですか?』
『だから―――』
『すいません、あなたはグラビアモデルの石本涼子さんですよね?松本さんとはいつからお付き合いを?』

カメラを持った男は、後ろを振り返りそこに立っていた女にそう聞いた。

『えー、4年くらい前からですけどぉ。やだぁ、わたし事務所に怒られちゃうー』
『おい、あんた―――』

潤が男の方へ一歩足を踏み出そうとしたその瞬間、男はさっと潤の方へ向き直ると潤に向かってシャッターを切った。
フラッシュの光が目に入ったのか、潤が手で顔を覆う。

『コメント、確かにいただきました!事務所にも連絡させていただきますよ!それじゃ!』

男が走り出した。
コンビニの前の道路を横切ろうとする男。
近付くライト。


潤は道路に飛びだし、男に体当たりをした―――。




キィィーーーーーーー!!!!!



『キャーーーーー!』

女の叫び声が響き渡る。

潤の体は宙を飛び、全身をアスファルトに叩きつけられ、その場に動かなくなった。
道路の脇で茫然と潤を見ている男。
しゃがみこんだ男の傍らに、壊れたカメラ。

止まった車から、慌てた様子のドライバーが飛び出してくる。
倒れている潤に駆け寄り、動かないのを見るとさらに慌てた様子で車に戻っていった。

『キャーー!!キャー!!死んじゃったの!?ねえ!死んじゃったの!?』

女が金切り声をあげていた。

『うるさい!騒ぐな!おい、いくぞ!!』

男が女の腕を掴み、その場から逃げるように走り出す。

カメラは、その2人が逃げて行く姿を追っていった。
走っているのか画面が揺れていたが、画面にはあの2人が映し出されていた。
数メートル走ったところで、路地に止められていた車に乗り込むと、そのまま車を急発進させてその場を走り去ったのだった。

映像はそこで終わっていた。




「これは・・・・・?」

翔ちゃんが俺の方を見る。

「この映像を撮ってた人が、通報してくれたんだよ。さっきのコンビニの隣のマンションに住んでる人で、潤がコンビニに入るとこを偶然見たらしくて、スマホのカメラでこっそり動画を隠し撮りしようとしたらしい。近く見えるけど、潤たちからは見えない場所に隠れて撮ってたから気付かれなかったみたいだね」
「それで偶然あの場面を?でもどうしてすぐに届けなかったんだろう?」
「隠し撮りしてたことがばれるとまずいと思ったんだって。潤が助かったことをニュースで知って、運転手も逃げなかったし問題ないと思ったって。でも、あの記事が・・・・まさかあのとき自分が見たものがあんな記事になると思わなくてびっくりしたらしい。全く別の話かと思ったら記事に出てる女もあのときの女だったし、これは潤がはめられてるんだと思ったらしい」
「なるほど。それで、どうして今頃この映像を?」
「最初は、向こうの週刊誌に持って行ったらしいんだ。でもその映像見せる前にそのカメラマンの男がそこを辞めさせられたって知って、見せるのを辞めたらしい」
「辞めさせられた?」
「急に辞めたって言われたらしいけど、一瞬『辞めさせられ・・・』って言いかけたんだって。それで、その映像見せたらもしかしたらまずいんじゃないかと思ったって。スマホ取られるかもしれないと思って黙って帰って・・・・でもうちの事務所に来るのは隠し撮りのことで責められそうでなかなか来れなかったって。でも、ネットニュースでもあの記事がまるで真実みたいに報道されてて、ファンの人たちまで信じる人が出てるって知って、黙っていられなくなったって」

俺が最初に事務所でこの映像を見せられた時、専務が話してくれた内容そのままを話した。
その人の名前や顔を出さないという条件で、この映像を公開してもいいという話だったと。
俺はその人に会っていないけれど、おとなしそうな男子大学生で、潤のファンだと言っていたらしい。
潤を、助けたいんだと・・・・

「今の映像、そのまま流すの?あのカメラマンの顔もわかっちゃうけど・・・・」

ニノが机に頬杖をつきながら俺を見上げた。

「うん。実はあのカメラマンのことはこっちで調べて、連絡取ってるらしいんだ。まだわからないけど・・・・もしかしたら、この記者会見のときに来るかもしれないって」

この言葉には、さすがにニノも翔ちゃんも、驚いた顔をした。
リーダーは・・・・・変わらなかったけど。


そして


突然謎の記者会見発表を知らされたマスコミが、続々と会場に集まり始めていた・・・・・




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