第3話できました!
潤ちゃん復活~
そして、雅潤なのに翔くんの語りで進んでいくという。
翔くん中心だと、お話が進めやすいんだよね。


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「ちょっと事務所に電話してきます。もしかしたら何か情報が入っているかもしれない」

刑事たちが帰ると、マネージャーの佐野さんがそう言って俺たちから離れていった。
俺たちはただじっと、手術室の前でその明りが消えるのを待っていた。
誰も何も言わない。
ただ松本のことだけを心配し、4人ともその場に立っていた。

しばらくすると、佐野さんが少し慌てたように戻ってきた。

「どうした?何か情報あった?」

ニノの言葉に、佐野さんは気まずそうに俺たちの顔を見渡した。

「実は・・・・大変なことになりました」
「どういうこと?何があったの?」

大野さんも心配そうに佐野さんに近寄る。

「週刊○○から、記事が出ます」
「週刊○○?って・・・・あそこは」

芸能人に張り付く有名な週刊誌だ。
事実も時にはあるが、出る記事の90パーセント以上はガセだ。
それでも、記事として出ればそれを事実と思ってしまう人は少なくない。
今はネットで拡散されるという付録も付いているため余計に厄介だった。
俺たちジャニーズ事務所のタレントも例外なく、常にだれかが張り付いていると言っても過言じゃない。
そして、事務所の方針でその週刊誌の記者には何も言うなというのが決まりになっていたのだが・・・・

「松本さんの記事です」
「は?松本の?」
「どういうこと?潤くん何も―――」

まさか相葉との仲がばれた?
一瞬、俺たちの背中を冷たいものが走る。

「でるのは、明日です。でも今日、ネットの方で予告を流すらしくて、それが・・・・松本さんとグラビアモデルの熱愛だと」
「はぁ?グラビア?なんだよそれ」

思わず声が高くなる。

「翔ちゃん!」

ニノにたしなめられ、思わず口を抑える。
が―――

「熱愛って・・・・どういうこと?写真は?」

相葉もいつの間にか立ち上がり、険しい表情で佐野さんを見ていた。

「あるそうです。2人が、抱き合っている写真だと―――」
「抱き合ってる・・・・?嘘だ!そんなの、ありえない!」
「相葉ちゃん、落ち着いて!」

大野さんが相葉の腕を掴む。
ニノも相葉の肩を掴み、なだめるようにその腕を叩いた。

「・・・・ねえ、それ、今回のことと何か関係あるの?」

ニノの言葉に、俺の頭の中で何かが音を立てた。

「え?いや、今回のこととは・・・・新しい情報も何もなかったです。ただ、○○からそういう連絡があったということで、記事の差し止めができないからメンバーに話しておいてくれって言われて」
「ニノ、おまえは何か関係あると思うの?」
「だって、偶然にしては出来過ぎじゃない。それに、事故を通報した人とか、その場にいた男女のことだってわからない。もし何か関係があるなら・・・・逃げたのかもしれない」

松本のスキャンダル・・・・・
それと今回の事故が、関係してる?
その、現場にいた男女は何者なのか―――

その時だった。

手術中の明かりが消え、静かに扉が開いた。
中から出てきた医師に、俺たちは駆け寄った。

「あの、潤は―――」
「―――手術は成功です。傷跡も目立ちませんし後遺症も心配ないでしょう。足を骨折していますので1ヶ月は松葉杖が必要になりますが、リハビリが上手くいけば通常通り歩けるようになるのも早いと思いますよ」
「・・・ありがとうございます!」

深く頭を下げる相葉に続いて、俺たちも医師に頭を下げたのだった・・・・。



『松本潤、交通事故で骨折』
『松本潤、グラビアモデルと熱愛?三角関係か!?』

そんな二つの異なる言葉がネット上を賑わせ始めたのはその日の午後からだった。
交通事故については相手側との示談交渉後、事務所から発表していた。
それを待っていたかのように、週刊誌の予告記事がネットに流されたのだ。

俺たちは、それぞれ仕事のために病院を後にしていたが―――
俺は、たまたまその日の夜までは仕事がなかったため病院に残り松本の傍にいることに。


「・・・・しょおくん、ありがと」

目を覚ました松本は、始め状況が把握できていないようだったが、マネージャーから話を聞きようやく事故のことを思い出したようだった。

「俺は何もしてないよ。・・・・相葉が、すごく心配してた」
「ん・・・・あとで連絡するよ」
「大丈夫。仕事が終わったらすっ飛んで来るよ、きっと」
「ふふ・・・・」
「・・・・なぁ、松本」
「ん?」
「お前・・・・・石本涼子ってグラビアモデル知ってるか?」

その言葉に、松本の目が大きく見開かれる。

「・・・知ってるのか」
「なんでしょおくんが・・・・事務所がもう知ってるってこと?」
「○○から事務所に連絡があったんだよ。明日発売の週刊○○に載るって。もうネットでは情報が流されてる。なぁ、どういうことだ?お前、その女と―――」

俺の言葉に、松本は大きく首を振った。

「俺は、知らない、そんな女」
「じゃあ何で―――」
「はめられたんだ!」
「はめられた・・・・?」

そこで、俺とマネージャーは、松本から事故の時の状況を初めて聞いたのだった。

「じゃあ・・・・お前がつきとばしたっていうのは、そのカメラマン?」
「うん。その時、カメラが壊れてるのが見えたから、写真も残ってないと思ったのに―――」
「・・・おそらく、SDカードは無事だったんだろう。それにしても、お前に助けてもらっておいてその場から逃げ、しかも写真を出すなんて―――!」

俺はこぶしを握りしめた。

「・・・そこにいたのは、お前らだけ?他に見てたやつとかいないの?」
「わかんない・・・・いなかった気がするけど・・・・」

俺はマネージャーと顔を見合わせた。
今の話を、もちろん俺たちは信じる。
松本は嘘をつくような奴じゃない。
それは、20年も付き合っているのだからわかる。
だが、世間ではそうじゃないだろう。
そのカメラマンを助けたという証拠もない。
モデルとカメラマンが口裏を合わせて、松本の言っていることを否定する可能性は高い。
抱き合っているように見せかけた写真が出てくれば、2人が付き合っていると信じる人間もいるだろう。
それに何よりも―――


『何も話すな』


それが、事務所からの指示。
どんなに否定したくても、出来ないのだ・・・・・。





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